2019 Fiscal Year Research-status Report
微細酸素気泡の血液溶解を利用した小型人工肺と圧電素子を用いた小型血流ポンプの開発
Project/Area Number |
18K16382
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小渡 亮介 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (20792477)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロバブル / 人工心肺 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在臨床で使用されている膜型人工肺による人工心肺回路の酸素化補助を行うための、微細酸素気泡(マイクロバブル)を利用した気泡型人工肺の開発実験を行った。 マイクロバブル発生装置を既存の人工心肺回路に組み込み、液体や血液の酸素化を補助する気泡型人工心肺の作成を行った。マイクロバブル発生装置を回路に直列でつなぐ場合と、リザーバー(貯水槽)に独立して配置するかなど、回路の作成方法を比較検討し、リザーバー内に留置することがもっともマイクロバブル発生効率がよく、回路作成法もシンプルになることが判明した。生理食塩水の酸素化がマイクロバブルによって酸素化されることの証明に加え、死後ブタ血液を人工心肺回路で循環させて、マイクロバブル発生装置なしの状態で血液を循環させたものと、マイクロバブル発生装置を作動させた場合のものを同じ血液で実験した。その結果、マイクロバブルによって血液の酸素分圧が上昇することを確認した。血液の場合、粘性のために現状使用しているマイクロバブル発生装置では流量制限があることが分かった。流量を増加しても生理食塩水実験の時の様に比例曲線的に血液が酸素化されないということも確認した。酸素化に十分な流量を出そうとするとバルブにかかる圧が上昇し、マイクロバブル発生装置が破損することも分かった。死後血液のため血液の正確な定量評価は困難だが、圧がかかることにより赤血球の破損による機械的溶血が疑われた。血液は生体内を循環していないため、二酸化炭素交換能の確認はできなかった。 圧電素子ポンプは連続的に血液を送り出す必要がある人工心肺回路には特性が向いておらず、むしろ既存の小型ローラーポンプを使用したほうがマイクロバブル発生装置の実験に適していることが分かった。生理食塩水実験でもは液体の拍出力が不十分だったため、血液での実験には不適であることが予想され、血液実験は行わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設の動物実験施設の大規模改修工事のため、大型動物実験が可能な時期に制限があった。実験可能な2-3月で動物実験を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で必要器機や動物の購入が困難な状況になった。特に人工心肺回路は主にフィリピン工場で生産されているが、記載現在も工場が稼働していないため、臨床使用分の人工心肺回路の確保も困難になっている。そのため、現在動物実験に進めない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床使用分の人工心肺回路供給が不安定なため、動物実験用に回路を使用するのは倫理上困難である。回路供給の安定を待って実験を行う予定であるが、次年度も当施設の動物実験施設改修工事のため大型動物実験は制限される状態である。状況を見て、必要であれば研究期間延長の申請を行い、新型コロナによる必要物品などの確保や、動物実験施設改修後に実験を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス関連の影響で実験ができなかった動物実験費用や、動物実験用の人工心肺回路、新たなマイクロバブル発生装置購入費用が次年度繰り越しになった。新型コロナウイルスによる物品流通が安定し次第、次年度すみやかに実験を行っていく予定である。
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