2018 Fiscal Year Research-status Report
他家MSCs細胞シート移植による心機能改善効果の検討
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18K16395
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 玉美 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (40815669)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MSCs / 虚血性心疾患 / 低酸素プレコンディショニング / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
概要:心疾患に対する心筋幹細胞移植療法に関して、これまでは自家細胞移植が多く研究されていた。しかし自家移植は細胞の準備に時間を要すこと、細胞の管理コストが高いこと、患者自身の加齢や心不全に伴い移植細胞の質が低下することなどが課題とされ、普及には至っていない。本研究は、免疫原性が少なく、採取が簡便である間葉系幹細胞(MSCs)を使用し、上記の問題点を回避する他家移植を使用する。「自家幹細胞」を用いた「慢性期幹細胞移植」が中心であったこの分野において、「他家幹細胞」を用いた「急性期幹細胞移植」の導入を図り、新たな心筋再生医療の開発を目指す。 平成30年度研究計画:MSCsは免疫原性が少なく、移植の際にHLAを考慮する必要がないという報告がある(Transplantation 2003, Ann N.Y.Acad.Sci 2017)。とは言え、他家移植において安全性は慎重に検討すべきであり、免疫応答を再度検証する。具体的には、a:ウサギ間葉系幹細胞(rMSCs)の単離と細胞シート作成、b:rMSCs細胞シートのサイトカイン放出能の検証、c:免疫反応によるrMSCs細胞シートの細胞障害の検証、を行う。 平成31年度研究計画:ウサギ急性心筋梗塞に対する他家移植モデルを用いて、rMSCs移植の安全性と治療効果を検証する。具体的には、a:ウサギ急性心筋梗塞モデルの作成、b:rMSCs細胞シートを使用した他家細胞移植による治療効果の検証、を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心疾患に対する幹細胞移植において、移植細胞の生着や心筋細胞への分化は稀であり、幹細胞が分泌する成長因子やエクソソームが心筋保護効果の主因であるという報告が最近になって相次いでいる。また、分泌されたエクソソームがマクロファージなどに取り込まれ、心筋保護効果を発揮することも明らかにされた。以前は血管新生能などの観点から、MSCsと他の幹細胞が比較検討されていたが、現在はエクソソーム分泌や他の細胞種へ与える影響という観点から、新たな評価が必要となるかもしれない。以上より、既存の実験計画に追加し、エクソソーム分泌に関して、MSCsとcardiosphere-derived cells (CDCs)を比較検討することにした。その為、計画より進行がやや遅れている。 a:rMSCsの単離と細胞シート作成:rMSCsを骨髄穿刺により採取した。細胞シートの作成に成功した。現在は分化誘導でrMSCsの品質を確認している。 b:rMSCs細胞シートのサイトカイン放出の検証:様々な刺激を用いて、サイトカインや成長因子の発現を測定している。また、当研究室で実績がある低酸素プレコンディショニングでも刺激し、MSCsとCDCsのタンパク発現やエクソソームに関しても検討している。MSCsとCDCsの間に差が認められる成長因子やエクソソームのマーカーを複数、同定した。 c:免疫反応によるMSCs細胞シートの細胞障害の検証:現在は主に細胞死の評価を行っている。 その他:平成31年度研究計画にある、ウサギ急性心筋梗塞モデルを準備している。予備実験としてTTC染色を用いて梗塞巣サイズを比較検討した。均一な梗塞モデルの作成にはまだ至っていない。冠動脈の走行がげっ歯類とは異なることが要因と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
心疾患に対する幹細胞移植において「移植細胞の生着・生存は稀である」、「幹細胞が分泌するエクソソーム・成長因子が心筋保護効果の主体を成す」という報告が最近、相次いでいる。また、以前はMSCsとCDCsの比較が盛んに行われていたが、最近は分泌されたエクソソームがマクロファージなど他の細胞に影響し、心筋保護効果を発揮することが注目されている。以上を踏まえ、本研究においてもエクソソームの解析を行い、MSCsとCDCsを新たな観点から再比較することにした。 現在、ウサギ心筋梗塞モデルを準備をしているが、均一な梗塞モデルの作成に時間がかかる可能性がある。その場合は他の心不全モデルの使用を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画を追加し、エクソソームに関する検討やMSCsとCDCsの比較を開始した。これにより物品や謝金の内容を一部変更したため、次年度使用額が生じた。次年度は動物モデルの実験が多く予定されており、計画以上の個体数が必要となる可能性がある。その場合、次年度使用額は新たな動物の購入などに充てる予定である。
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Research Products
(1 results)