2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular-based analysis and therapeutic development of aortic valve stenosis
Project/Area Number |
18K16396
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
浪口 謙治 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (10815343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 間質細胞 / AS / マクロファージ / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、弁再生医療を目指した弁間質細胞(VIC)の濃縮とストック作成を継続し て実施し、また同時に、ウシ心膜由来の生体弁の劣化メカニズムの分子解析を実施した。今回の解析で得られた新しい知見としては、ある特定の細胞外マトリックス培養法においてのみVICは強固に接着し、また効率的に増殖を繰り返すことを明らかにした点である.また、正常の大動脈弁や、石灰化大動脈弁と、移植後5-15年が経過した劣化生体弁について、プロテオミクス手法を用いてタンパク質プロファイリングの違いを比較検討した。その結果、いくつかの血中タンパク質の過剰沈着が生体弁特異的に起こっており、これが移植生体弁の劣化を促進している可能性が示唆され、論文として現在執筆中である。本プロジェクトにおいて、再生医療を目指した新たな人工弁の構築研究に本知見が大きく役立つものと考えている。一方で、我々が遺伝子発現解析から既に同定している、弁石灰化に重要な役割を果たすものと考えている因子についてin vitro calcification assayを用いて解析を進めた。具体的には、これらの遺伝子を導入できるレンチウィルスを用いて非石灰化組織由来間質細胞に過剰発現させ、その後石灰化刺激を行った。弁間質細胞による石灰化機能については、培養3週間後にアリザリンレッド染色によりカルシウム沈着を定量的に評価した。その結果、いくつかの遺伝子において、アリザリン陽性細胞の出現率を亢進させる。機能があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アリザリンレッド染色によるVICの石灰化アッセイ系の構築に時間を要したため、当初の 計画に対して遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
我々がこれまで実施した実験の結果から、弁再生医療のための脱細胞化組織は、弁間質細胞が定着しやすい細胞外マトリクスの成分を含む構造体であることと、なおかつ特定の結成成分を沈着させない素材が必要であるとわかった。そこで、再生医療への応用実験について、ウシ心膜を用いた脱細胞化実験においてはこれら二つのポイントを指標に、心膜組織の界面活性剤処理や固定剤の選択を進めていく予定としている。一方、網羅的遺伝子発現解析から挙がってきた弁間質細胞において、病態進行により発現が低下した遺伝子群を対象とした解析を、過剰発現系と発現抑制系の両アプローチによりさらに詳細に解析をさらに進めていく予定としている。
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Causes of Carryover |
大動脈弁石灰化予防のための研究プロジェクトの遅延により、弁再生医療のための実験準 備に遅れが生じたため、当該年度に充てる予定であった新規生体弁構築予算の一部を、来 年度分として繰り越すこととした。
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