2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular-based analysis and therapeutic development of aortic valve stenosis
Project/Area Number |
18K16396
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
浪口 謙治 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (10815343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 間質細胞 / AS / マクロファージ / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈弁組織が石灰化すると弁狭窄が生じ、発見が遅れると心不全に至る。しかし、弁組織に石灰化が起こる分子メカニズムはこれまで不明のままである。人工弁への置換術が本疾患における唯一の治療法であるが、弁劣化による再弁置換術が必要となるケースもあり、いくつかの問題点が残されている。本研究プロジェクトでは、摘出した劣化生体弁の組織構造を詳細に解析すると同時に、間葉系細胞を用いた弁の再生医療の確立を目指す。また、大動脈弁狭窄症患者から摘出された石灰化大動脈弁(Native valve)を用いた石灰化関連因子を網羅的分子発現解析から同定し、石灰化防止療法の標的分子を見出す。本年度では、前年度に引き続き、長期間に渡って移植されていたウシおよびブタ心膜由来劣化生体弁について組織学的な解析を実施した。その結果、特定のウシ心膜由来生体弁のみに、大動脈側・心臓側の両側にvimentin陽性の間葉系細胞が定着しており、このような組織では石灰化が全く認められないことがわかった。しかし、心膜組織が劣化し、断裂した線維組織の間にこのような細胞が多数集積し強い石灰化が誘導されている症例も確認されたことから、弁の組織損傷が起こると弁内部に浸潤し、逆に石灰化を促進している可能性が示唆された。これらの結果を踏まえ、現在では、弁の組織間の接着が強固であり、なおかつ弁表層に血管内皮細胞および弁間質細胞が浸潤しやすい構造を有した人工弁を、送液ポンプ装置を用いた実験系を用いて開発中である。一方、網羅的発現解析から得られた弁石灰化関連遺伝子について、in vitro石灰化アッセイを用いた機能解析により、その治療候補遺伝子をさらに絞り込んだので、現在in vivoでの機能評価を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生体弁の再生医療応用につなげるための、劣化生体弁の収集およびその組織学的解析に時間を要していたため、多少の研究計画の遅延が生じているが、目的達成のための計画は順調に進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
間質細胞および血管内皮細胞を心膜組織表層に定着させるための基礎技術の確立を進める。一方、大動脈弁石灰化の原因となる遺伝子についてはin vivoでの機能解析を進めるとともに、そのタンパク質機能阻害効果を有する化合物の探索研究も進める予定である。
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Causes of Carryover |
再生医療につなげるための摘出した劣化生体弁の収集および解析に時間を要したため、その後研究計画に遅れが生じた。予定していた計画について次年度に実施するため、予算についてもそれらの実験にて使用予定である。
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