2020 Fiscal Year Annual Research Report
Do GLP-1 receptor agonists have a protective effect on spinal code infarction?
Project/Area Number |
18K16398
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 慶之 九州大学, 大学病院, 助教 (60644705)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | GLP-1受容体作動薬 / 虚血再灌流障害 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腹部大動脈瘤手術後に脊髄梗塞により発症する対麻痺は、重篤な合併症であり、確実な予防法・治療法がないことから、新たな脊髄保護法の開発が求められている。GLP-1受容体作動薬は、脳梗塞や心筋梗塞に対する臓器保護効果を有することが、臨床、実験レベルで報告されている。本研究は、糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬が、脊髄虚血による脊髄梗塞に対する保護効果を有するかを検討することを目的とした。 ウサギを用いて、全身麻酔下に大腿動脈を露出し、バルーンカテーテルを15cm中枢にすすめ、15分間バルーンを拡張して腹部大動脈を閉塞し、脊髄虚血モデルを作成する。Sham手術群、単純虚血群、GLP-1受容体作動薬投与群の3群比較により、GLP-1受容体作動薬の保護効果を検討している。GLP-1受容体作動薬としてリラグルチドを50μg/kg/日皮下注する。症状の評価としてmodified Tarlov scoreで評価したところ、虚血再灌流2日後、7日後の症状はGLP-1受容体作動薬投与群で有意に改善していた。GLP-1受容体作動薬により脊髄保護効果を得るためには、虚血再灌流よりも7日以上前から投与しておくのが効果的であることが分かった。また、脊髄を摘出して組織学的評価を行った結果、HE染色、ニッスル染色において、GLP-1受容体作動薬投与群では単純虚血群と比較して有意に温存される神経細胞の数が多いことが示された。また、免疫学的染色としてTUNEL染色を行った結果、単純虚血群ではアポトーシスを起こした神経細胞が有意に多いことが示され、虚血再灌流による対麻痺には神経細胞のアポトーシスが関与していることが示された。今後の追加研究として、アポトーシス関連蛋白の発現がどのように制御されているかを、ウエスタンブロットを用いて追加研究を行っていく予定である。
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