2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hemodynamics management using cerebral autoregulation monitoring in patients undergoing cardiovascular surgery
Project/Area Number |
18K16400
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
堀 大治郎 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90742461)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳自動調整能 / 至適血圧 / 脈波伝播速度 / 臓器障害 / pulse wave velocity / 血管内皮機能 / 周術期管理 / 人工心肺 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓大血管手術周術期において適切な臓器潅流を保つための「至適血圧範囲」の評価法は未だに確立されていない。当研究では患者個々における至適血圧範囲を脳自動調整能曲線より求め、それを規定する関連因子と周術期血圧管理における脳自動調整能モニタリングの有用性について検討してきた。 体血圧の変動と連動した脳の酸素飽和度の変動を評価することにより脳自動調整能曲線が描出できるが、脳自動調整能の閾値範囲内であれば血圧の変動によらず脳血流量が一定に保たれ、閾値範囲外では血圧に連動し血流が増減する。周術期脳自動調整能モニタリングを行ってきた66症例における人工心肺使用中の脳自動調整能下限値は46±13.3mmHgであった。脳自動調整能下限値の関連因子として人工心肺使用前においては血管内皮機能(FMD)が関連しており、人工心肺使用中においてはカルシウム拮抗薬の使用、糖尿病の既往、FMD、そして血管硬化度(脈波伝播速度)が関連していた。人工心肺中の血圧管理においては、脳自動調整能下限値を下回る血圧管理(AUC<脳自動調整能下限値(mmHgxhr)が術後腎機能障害の関連因子となっていた。脳自動調整能下限値を下回らない血圧管理は術後腎機能障害を予防できる可能性があり、血管内皮機能低下症例、血管硬化度が高い症例においては、より高い血圧管理が必要となる可能性が示唆された。 心臓手術後における腎機能障害はその後の生命予後と関連するとされているが、追加の解析においては術前FMDの低下と脈波伝播速度の上昇が術後腎機能障害と関連していた。血清学的検査では血管炎症マーカーであるVCAM1が術後腎機能障害発症症例において有意に高かったことも明らかとなった。術前血管機能評価は術後腎機能障害の危険性を測るうえで重要な因子であることが明らかとなった。今後学会、論文において発表する予定である。
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