2018 Fiscal Year Research-status Report
分子状水素を用いた新しい下肢虚血再灌流障害抑制法の開発
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18K16401
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 応典 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20793475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 下肢虚血再灌流障害 / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス下肢虚血再灌流モデルマウスの作成を行った。マウスはBALBcマウス、8週を使用した。簡易的な下肢虚血モデルとして、マウスの左後下肢を結束バンドで駆血し虚血モデルとした。左後足趾にレーザードプラー血流計(JMS社製)を装着し、駆血径と血流量の関係を求めた。駆血径と血流量は正の関係性があり、駆血径2cm以下で血流は5%程度まで減少した。次に虚血時間と駆血径の調整を行った。駆血径を1.5cm、2.0cmと設定し、各虚血時間(30分、60分、90分、120分、150分)経過後に駆血を解除し、再灌流開始した。再灌流開始後、超早期(0、2、4、6、8、10時間)、早期(1、2、3、4、5、6、7日後)、遠隔期(2、3、4週間後)の各タイミングで血液生化学的評価(CK,IL-6)と病理組織学的評価(HE染色)を行った。各条件毎に5匹ずつ検討した。結果、血液生化学的評価は再灌流後超早期に上昇し、24時間経過以降は正常値へと回復した。病理組織学的評価では、再灌流後超早期においては細胞間の浮腫が出現し、数日経過後から炎症細胞の浸潤を認めた。7日経過後には、再生筋細胞の出現が確認され、28日後では損傷した筋細胞の多くが再生筋細胞となっていた。駆血径1.5cmではマウス下肢径に対して極度に径が細く、下肢筋肉の挫滅が強く見られたため不適であった。実験期間中に下肢が壊死した個体は認めなかった。駆血径と虚血時間を生化学的初見と病理組織学的所見から検討し、適度な下肢へのダメージとして最終的には駆血径2cm、虚血時間2時間と設定したモデルが最適と判断し、下肢虚血再灌流モデルマウスを確定した。また、重症下肢虚血肢モデルとして、虚血時間を延長し一定の確率で下肢壊死を生じる重症下肢虚血モデルの作成を試みたが、虚血時間延長に伴い全固体が虚血中に死亡となり、さらなる検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下肢虚血再韓流モデルマウスの作成に時間を要した。適切なモデルに関する過去の報告が少なく、各種評価項目ならびに評価するタイミングに関しての検討に時間を要したため若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
下肢虚血再灌流モデルマウスは確立したため、今後は水素ガスを投与し虚血再灌流障害を抑制できるか検討する。水素ガスの投与方法や投与時間なども検討を要すると考えられる。また、効率的な実験を行うために、閉鎖空間内に水素ガスを充満させ、受動的に水素ガスを吸引させることを検討している。また、組織学的評価においては、免疫染色などを追加し更なる検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度から水素ガスの投与を検討していたが、実験計画がやや遅れていることにより不可能であったため、次年度使用額が生じた。本年度に追加のマウス個体ならびに試薬、水素ガスを購入し、さらなる実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)