2019 Fiscal Year Research-status Report
分子状水素を用いた新しい下肢虚血再灌流障害抑制法の開発
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18K16401
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 応典 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20793475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水素 / 虚血再灌流 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に作成した下肢虚血再灌流モデル(2センチ、2時間虚血モデル)に対して水素ガスを投与し、その効果を検討した。水素ガスの投与のプロトコールとして、虚血開始時より吸入麻酔薬による鎮静下で1.4%水素ガスを6時間投与とした。水素投与の方法として、水素ガスの吹き流しで行ったが、ガスの消失が早く不可能であった。そのため、水素発生装置(日本光電製)を使用し、水素ガス濃度を計測し1.4%になるように調整する方法とした。 水素投与群は、密閉されたケージに水素ガスと吸入麻酔混合ガスを充満させ受動的にガスの吸引を行い、6時間後にケージから解放し大気下で観察を行った。コントロール郡は密閉されたケージに吸入麻酔を充満させ、同様に行った。虚血再灌流後、超早期郡の一部(再灌流後0,2,4時間)に関しては、時間経過直後にケージから取り出し、検体摘出を行った。 血液生化学的評価の結果として、CKの値に関しては両群間に有意差を認めなかったが、IL-6は水素群でpeak値が有意に低下を認めた。病理組織学的評価では、HE染色において再灌流開始後24時間以内の超早期では、両群間に有意な差を認めなかったが、5日後の組織では、水素群で有意に炎症細胞浸潤が抑制された。炎症細胞浸潤面積/全断面積をダメージエリア(%)と定義すると、水素群:18.8%、コントロール群99%、p<0.01と有意に減少した。遠隔機(28日後)においては、先ほどのダメージエリアを反映し、水素郡ではほとんどが正常筋細胞であったのに対し、コントロール群ではダメージエリアの部分が再生筋細胞となっていた。水素投与によって、筋細胞へのダメージの軽減が得られたと考えられた。現在、免疫染色(Ly-6,CD3,CD68など)を行い、詳細な評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫染色の条件検討に時間を要し、若干の進行の遅れを認めているが、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫染色およびHE染色の病理組織学的評価において、定量的な評価が必要であり評価方法について検討を行う。また、論文作成を行い発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定よりもごくわずかに計画が遅れていることにより、645円の次年度使用額が生じた。本年度に追加実験を行い、論文作成および発表を行うために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)