2020 Fiscal Year Research-status Report
分子状水素を用いた新しい下肢虚血再灌流障害抑制法の開発
Project/Area Number |
18K16401
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 応典 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20793475)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 下肢虚血再灌流障害 / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は作成した下肢虚血モデルマウスに対して水素ガスを投与しその結果を検証した。本年度は、さらに追加実験を行い母数を増やし、その結果を解析とした。以下、水素投与群をH群、コントロール群をC群とする。 血清学的所見では、H群、C群ともに虚血再灌流後4時間でCK、IL-6ともにpeakを認めた。CKは両群にて有意差を認めなかったが、IL-6のpeak値はH群で有意に低かった(H群:242pg/mL C群:399pg/mL, p<0.05)。組織学的所見では、超早期では両群共に細胞間の浮腫を認めたが有意差はなかった。早期では虚血再灌流3日後より炎症細胞浸潤を認め、7日後には再生筋細胞の出現を認めた。1視野における異型筋細胞+炎症細胞浸潤の面積率をダメージエリア(DA)と定義すると、虚血再灌流後3,4,5,6日後のDA比はH群で有意に低く(p<0.001)、炎症細胞浸潤の抑制を確認した。免疫染色(CD33,CD68,Ly-6G)の結果、H群では全ての免疫染色陽性細胞の有意な減少を確認し、水素ガス投与によって炎症細胞浸潤が有意に減少されることが示された。遠隔期においてはDAを割合を反映し、C群ではほぼ全ての細胞が再生筋細胞へと置換されていたが、H群ではほぼ全ての細胞が正常細胞であり再生筋細胞数はわずかであった。以上より、水素ガス投与によって下肢虚血再灌流障害を抑制できる可能性が示唆され、現在論文作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症により一時研究室がストップとなったが、概ね順調であり現在論文作成中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
英文論文化し投稿予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により研究が一時ストップし、研究計画が遅れたため本年度予算が余剰となり次年度への繰り越しとなった。今後の論文投稿に際して英文校正費用などに充填する予定である。
|