2019 Fiscal Year Research-status Report
脱細胞化、再細胞化技術を用いた再生型カバードステントの開発
Project/Area Number |
18K16403
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松原 健太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70348671)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 生体吸収性ステント / 血管内治療 / カバードステント |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室においては、生体吸収性ステントをブタ腸骨動脈に留置し、6週間後の開存性や血管壁反応の検討を先行して行っていたが、その結果留置部分に一定の炎症を伴う中等度の内膜肥厚を生じる結果が得られた。よって、本研究で用いるカバードステントの血管内留置後の遠隔期成績を評価する際にも、カバードステント外壁を構成する生体吸収性ステントと、腸骨動脈の接触部における慢性的な炎症性変化や異物反応による内膜肥厚が同様に生じる可能性が懸念された。よって今年度は、生体吸収性ステント単独でブタ腸骨動脈内に留置し、留置後24週までの遠隔期における観察を行い評価した。留置部分を血管造影、血管内超音波で経時的(留置直後、6、12、24週間後)に観察した結果、6週間後は狭窄が最も強く表れ内腔面積が減少するが、その後12週後、24週後には徐々に狭窄が改善し、内腔面積も増加していくという結果が得らえた。金属ステントを腸骨動脈に留置した場合の24週後の評価では、狭窄率は経時的に進行し、内腔面積も減少を続ける結果が得られており、生体吸収性ステントは従来の金属ステントとは違う血管壁への反応を有することが示唆された。 カバードステントのデリバリーシステムに関しては、スムースな挿入・展開が可能なシステムの改良、調整を、研究協力者の京都医療設計株式会社と意見交換を行った。しかし2019年4月に同社が日本毛織株式会社のグループ会社へ移行し、同時に経営体制の大幅な変更が行われたため、本年度は一時的に連携の遅延が生じた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験計画の修正に伴い、生体吸収性ステント留置部の遠隔期成績の検討を先行させたことから、当初の計画からの遅れを生じている。また研究協力者の京都医療設計株式会社の経営体制の変更により一時的に連携の遅延が生じた。なお京都医療設計株式会社とは、経営体制の変更後もこれまで通り研究協力者としての連携を継続することが決まっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の生体吸収性ステント留置部の24週間後の結果については、留置部分の組織学的検討の追加を行う予定である。カバードステントの血管内留置実験に関しては、ブタ腸骨動脈へのカバードステント留置手技を安定化させるとともに、確実に標的部位に留置可能となるようなデリバリーシステムの改良を進める。また脱細胞化静脈への再細胞化に関しての検討も推進していく。一方、生体吸収性ステント留置部の24週間後までの開存性の評価を行った際に、血管造影、血管内超音波などのカテーテル操作を繰り返し行うことの手技上の問題点が浮上した。ブタにカテーテルを留置する際には、全身麻酔下に鼠径部あるいは頸部で動脈を露出し挿入する(カットダウン法)が、部位を毎回変えなくてはならず回数に制限があり、また繰り返し行うことによる侵襲が懸念された。臨床においては、下肢末梢動脈疾患における血流評価として、レーザードプラ血流計を用いた簡便な定量的計測が行われており、ブタにおいてもステント留置部末梢の足部での血流評価により、開存性の低侵襲で間接的な評価が可能になることが期待される。カバードステント留置後の遠隔期の経時的な開存性評価には、低侵襲な評価方法が必須と考え、当初の計画に加えて、ブタの下肢におけるレーザードプラ血流計での血流評価の有用性の検討を追加することを予定している。
|
Causes of Carryover |
1048円とわずかな次年度使用額が生じたが、当該年度はほぼ予定通りの使用状況であった。次年度の物品費として使用することを予定している。
|