2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K16406
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
金本 亮 久留米大学, 医学部, 助教 (70817353)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Syk / 腹部大動脈瘤 / B細胞 / マクロファージ / γグロブリン / MMP |
Outline of Annual Research Achievements |
腹部大動脈瘤の手術時にヒト大動脈瘤組織を採取した。瘤の最大径部分と、正常径に近い部分の2ヶ所より採取し、採取した大動脈瘤壁の組織標本を作製し、組織学的検討を行った。大動脈瘤壁におけるSykの活性と局在を明らかとするため、活性化Syk(pSyk)と各種サイトカインの免疫組織染色を行った。結果、大動脈瘤組織の最大径部分において、膠原繊維や平滑筋細胞の正常な構造は完全に失われており、外側中膜及び外膜に炎症細胞浸潤を認めた。免疫染色において、瘤壁外側の炎症細胞浸潤はB細胞、T細胞、マクロファージから成り、同部にpSykが集簇して発現していた。瘤最大径部分の蛍光免疫二重染色において、pSykは主にB細胞に発現しており、一部マクロファージにも発現していた。しかし、T細胞にはほとんど発現を認めなかった。さらに、免疫グロブリンの投与により、ヒト大動脈瘤培養中のIL-6分泌とMMP-9発現が上昇し、Syk阻害剤の投与により、免疫グロブリンで促進されたIL-6分泌とMMP-9発現が抑制された。しかし、MMP-2の発現に対してはいずれも影響しなかった。これらの結果は、免疫グロブリンがヒト大動脈瘤組織において炎症応答及び組織破壊性を促進し、その中でSykが中心的な役割を果たすことを示した。我々は、ヒト大動脈瘤病態におけるSykの重要な役割を実証するとともに、Sykが腹部大動脈瘤の有望な治療標的であると考えた。以上の知見をAnnals of Vascular Deseasesに投稿し、掲載された。 一方で、さらなる検討課題として、正常径部分における炎症、Sykの活性化を組織学的および分子生物学的検討、活性化Sykの定量的な病的血管と正常血管での比較を行う方針で、正常血管径の検体の採取、Western Blottingなどの追加実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病的血管におけるSykの役割については、予備的検討で得られた仮説を実証できる結果が得られ論文報告した。しかしさらなる知見を得るため、正常血管との比較やWestern Blottingなどの追加実験を計画しているが、研究代表者が研究機関より遠方の勤務となっているため実験に関しては遅延が生じている。また、腹部大動脈瘤患者から正常血管径部分を採取した場合、多くの場合血管径は正常でも病的血管であることが多く、満足できる検体を得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が遠方であるため、実験は共同研究者や研究補助スタッフに依頼し、進行する予定である。得られたデータは研究代表者が統計学的解析を行い、共同研究者と共有する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が研究機関から遠方勤務となっているため、研究計画に遅延が生じている。次年度は共同研究者や補助スタッフの動員を予定しており、実験や解析の遂行を計画している。
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Research Products
(1 results)