2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study for exploring the cause of positive pressure ventilation failure with a face mask during the induction of general anesthesia,and finding how to improve the ventilation failure
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18K16438
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
奥山 めぐみ 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20723563)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2023-03-31
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Keywords | 上気道 / 閉塞性睡眠呼吸障害 / マスク換気 / 全身麻酔 / 筋弛緩薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究者らがこれまでに解明したマスク人工呼吸中に生じる呼気時流量制限(expiratory flow limitation :EFL)の発生メカニズムをもとに、より臨床に即した状況で、発生に関与するリスク因子を解明することである。 具体的には、①口および鼻・口のそれぞれのルートでのEFLの発生頻度の違いを調査し、マスク人工呼吸での口気道の優位性を証明すること。②肺容量の増減が呼気時流量制限の発生および解除に与える影響を解明する。③筋弛緩薬の使用の有無が、EFLの発生に及ぼす影響を解明する。の3項目に対しての研究を行う。 令和3年度の研究目標は、前年度に達成できなかった『マスク人工呼吸中に生じるEFLは、口気道では生じない。』という仮説を検証することであった。全身麻酔導入後の患者に、鼻・口の気道を分離して選択できるマスクを使用して、鼻気道と口気道でそれぞれに陽圧人工呼吸を行い、実験を行うことを予定していた。しかし、既製品のマスク類を使用しても、鼻・口の気道を分離して選択することが困難であった。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大および医療者の暴露の懸念から、マスク換気中の研究データを測定するのが困難な状況が続いており、研究計画は大きく遅れてしまった。なお、筋弛緩薬の使用の有無がマスク換気に及ぼす影響については、研究チームで解明している途中であり、今後、EFLの発生との関連を解明できる可能性がある。令和4年度は、筋弛緩薬の使用の有無がEFLの発生に及ぼす影響を解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う懸念により、国外・国内の主な学会が中止や参加困難な状況が続いており、研究計画に必要な情報収集を行うことが困難であった。ま た、病院内での感染拡大の懸念から、エアロゾル発生リスクのある陽圧式マスク人工呼吸中に、臨床研究を行うことが難しい期間があり、研究推進計画に後れが生じた。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、医療者の人員が制限される環境もあり、研究のために十分な時間を確保できない状況が生じることもあった。 さらに、研究計画時に予定していた、鼻・口の気道を分離して選択して従圧式人工呼吸を行う計画が、既製品のマスクを使用しても困難であることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度までに達成できなかった研究計画を継続して行う。具体的には、①鼻・口気道を分離する方法を考案する。②①を使用して、予定された研究を行う。なお、①が困難である場合も勘案し、別の研究案を模索することも並行して行う。 さらに、令和3年度の予定であった、『肺容量増加はEFLの発生を減少させる』という仮説を検証する。通常麻酔科医が使用する鼻・口マスクを使用して実験を行う。全身麻酔導入後、鼻・口マスクでの従圧式人工呼吸を行い、PEEPを変化させた時の鼻腔内、口腔内の圧変化と呼吸流量変化を測定する。その後、体外式陰圧人工呼吸器を装着して、胸郭に陰圧をかけて肺容量を増加させた状態で、実験を行う。 令和4年度は、『筋弛緩薬投与により軟口蓋後壁部の経壁圧が増加し、EFLの発生頻度が下がる』という仮説を検証することでメカニズムを解明する。全身麻酔導 入後、鼻・口マスクでの従圧式人工呼吸を行い、筋弛緩薬投与の前後で、PEEPを変化させた時の鼻腔内、口腔内の圧変化と呼吸流量変化を測定する。 本研究の研究成果は、日本麻酔科学会・アメリカ麻酔科学会・アメリカ胸部疾患学会において発表するとともに英文学会誌に投稿し公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大のため、国外・国内の学会の開催が中止されたり、学会への参加が困難な状況が発生し、予定されていた学会参加費用が発生しなかった。また、医療者や病院内への感染拡大の懸念から、エアロゾルが発生する手技の途中で臨床研究を行うことが病院で禁止されていたため、研究が継続できない期間が生じた。 このため、研究の進行が遅れ、結果として使用する予定だった器材や消耗品などの費用が生じなかった。現在もCOVID-19の感染拡大により、診療や学会の参加にも制限が生じているが、少しずつ国内外の学会も開催されるようになり、またオンライン参加も可能になっているため、次年度以降は、学会への参加・発表も行っていく予定である。
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