2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of sodium channel function associated with congenital insensitivity
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18K16443
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
清澤 研吉 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (50624772)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 先天性無痛症 / 電位依存性ナトリウムチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終到達目標は,痛覚のみを阻害する新規の鎮痛薬,特に局所麻酔薬のターゲット探索を目標としたものであった.医療者および急性・慢性痛患者にとって,既存の薬剤のみでは疼痛コントロールが困難なことがあり,副作用が少なく鎮痛作用が大きいという理想的な鎮痛薬剤が渇望されている.リドカインに代表される局所麻酔薬も感覚神経と運動神経の両方に作用することが知られており,現在までに種々の局所麻酔薬が開発され臨床使用されているが理想的な分離遮断が得られているとは言い難い. 我々は,運動神経は正常で触覚・嗅覚も保たれるも痛み刺激に対する感受性が欠失しているという先天性無痛症患者に出会った.無痛症患者の遺伝子変異は多数の報告があり,その多くはSCN9Aのナンセンス変異やフレームシフトによるNaチャネル蛋白の構造が著しく変化したものであった.本患者もSCN9A領域に変異を有してい たが,Naチャネル機能低下による痛覚消失が原因と考えられた.そこで変異NaV1.7チャネルの機能解析を行いつつ,NaV1.7変異マウスを作成し行動実験評価を行なった.変異NaV1.7チャネル機能低下の要因を検討するためパッチクランプ法を用いて機能解析を行い,電流電圧連関におけるピーク電流の右方シフトおよびRamp pulse currentの減少を確認できた.本変異部位以外での1塩基置換によるチャネル機能解析はいたらなかった.行動実験では機械性侵害刺激に対する応答が減衰していること,この変異マウスに協調運動障害は見られないことも確認できた.またこの変異マウスより後根神経節を単離し電気生理学的な機能評価を行なっているが,ピペット作成など安定した測定条件の確立に難渋している.一方で電流の測定が困難な原因としてチャネルが膜に発現しにくい可能性も考えられるためその確認も必要と考えている.
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