2020 Fiscal Year Annual Research Report
proof of presynaptic glycine receptor function
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18K16452
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
住江 誠 九州大学, 医学研究院, 助教 (60792918)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グリシン / シナプス前受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄後角は知覚伝導路の一次中継地点で、シナプス接続が行われる。シナプスでは興奮性または抑制性伝達物質の放出により、侵害刺激の増強と抑制といった調節が行われていると考えられている。また興奮性伝達物質を多く放出する興奮性神経細胞や抑制性伝達物質を多く放出する抑制性神経細胞が相互接続することにより、複雑に侵害刺激の増強と抑制が行われている。このような中で、抑制性伝達物質の一つであるグリシンは主に抑制性神経細胞のシナプス終末から放出され、シナプス後のグリシン受容体に結合しクロライドイオンの透過性を高めることで神経細胞膜を過分極させ、シナプス後神経細胞の脱分極を抑制し、神経活動を抑制する。 シナプス間での伝達物質の放出に関しては、パッチクランプ記録法を用いた電気生理学的な研究手法で観察することができる。脊髄後角の神経細胞にマイクロマニュピュレーターを用いてガラス電極を圧着させ、圧着部の細胞膜を陰圧をかけて破ることで細胞膜の膜電位と膜を流れる膜電流を観察することができる。本研究では-60mVの電位固定法を用いて膜電流の観察を行った。興奮性シナプス高電流(EPSC)の観察下でグリシンの還流投与を行うと、EPSCの発生頻度が減少した。またこの現象は濃度依存性の変化を認めた。 EPSCの発生頻度は一般的にシナプス前神経終末からの神経伝達物質の放出量を反映するといわれている。本研究では、投与したグリシンがシナプス前神経終末のグリシン受容体に作用し、神経終末を過分極させることによって伝達物質の放出を抑制したと考えられる。シナプス前グリシン受容体は組織学的に存在が示されていたが、本研究によりシナプス前グリシン受容体がシナプス間の伝達物質の調節を行っていることが明らかとなった。このことはシナプス前グリシン受容体が、疼痛コントロールにおける新たなターゲットとなる可能性を示している。
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Research Products
(1 results)