2020 Fiscal Year Annual Research Report
Protective Effects of Hydrogen Gas against Spinal Cord Ischemia–Reperfusion Injury: A Microdialysis Study of the Spinal Ventral Horn
Project/Area Number |
18K16458
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
末廣 浩一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (10735806)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水素 / 脊髄虚血 / マイクロダイアライシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における生活習慣の欧米化を基盤に,肥満,糖尿病,高脂血症が増加している。そして元来高頻度の高血圧も含めて、これら危険因子の集積より成るメタボリックシンドロームが増加しており、これらを危険因子とする動脈硬化による心疾患や脳血管疾患に代表される血管病が増加し、がんに次いで日本人の死因の2位になっている。動脈硬化病変に合併することが多い動脈瘤の罹患率も増加しており、動脈瘤全体の25%を占める胸部大動脈瘤も急増している。左鎖骨下動脈より遠位に発生した胸腹部大動脈瘤は外科的手術もしくはステントを用いた血管内治療が施行されるが、いずれの場合も脊髄保護が重要となる。胸部大動脈手術では、大前根動脈を分枝する肋間あるいは腰動脈の血流低下による脊髄虚血から術後に対麻痺を生じる危険性があり、その頻度は胸腹部大動脈瘤手術で5~15%程度、胸部下行大動脈手術では5%程度とされている。対麻痺は術後の患者の生活の質(Quality of life)を著しく低下させるだけでなく、その後の治療・介護などに貴重な医療費などを投じることとなる。 本研究では脊髄虚血モデルラットを用いて、水素ガス吸入による脊髄障害予防効果に対する検討を行った。水素ガス吸入は脊髄前角でのグルタミン酸の上昇を抑制し、脊髄虚血後の運動機能の回復を促進させることを示した。また水素の保護効果の機序としてグルタミン酸トランスポーターが重要な役割を果たすことを示した。今後臨床でのさらなる研究が必要であるが、水素吸入は比較的容易に行うことができるため、心臓血管外科手術における脊髄保護の手法として非常に有効性が高いと考える。
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