2019 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛におけるオフセット鎮痛変容の機序解明-脊髄後角での電気生理学的検討
Project/Area Number |
18K16459
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
舟井 優介 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60722486)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オフセット鎮痛 / 脊髄後角 / 下行性疼痛抑制系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オフセット鎮痛のメカニズムを脊髄での電気生理学的記録により明らかにすることが目的である。オフセット鎮痛とは、熱刺激を短時間でわずかに増減させたときに痛み感覚が不釣り合いに大幅に変化する現象のことを指す。 脊髄後角膠様質からの細胞外記録やin vivo patch clamp記録手技は確立されているが、温冷型痛覚計UDH-300を用いた場合、有効なオフセット鎮痛が記録できなかった。その原因として、機器が発する電気的ノイズが大きすぎることが特定された。業者の立ち合いのもと、プローベの修理や内部回路の見直しなど様々な対策を講じており、原因が特定されつつある。 関連研究として、以前より取り組んでいた吸入麻酔薬による脊髄鎮痛作用の解析についてのデータが得られた。セボフルランは用量依存的に脊髄後角で興奮性伝達を抑制するが、デスフルランは用量により二相性反応を呈することが示された。すなわち、低用量デスフルランは興奮性伝達を増強し、高用量デスフルランは興奮性伝達を抑制した。両麻酔薬とも、抑制性伝達の増強作用を認めなかったため、下行性疼痛抑制系の関与は低い事が示された。麻酔薬の脊髄での鎮痛作用について明確にし、薬剤によって反応が異なる可能性を新たに示したものであり、この成果は英文誌Molecular painに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
UDH-300の電気的ノイズの除去が困難であり、オフセット鎮痛の記録が出来ず当初の研究計画から遅れている。さらに、新型コロナウイルスの蔓延により研究室の利用制限や業者対応の遅れなども来しており、さらなる遅れの原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
業者との協力のもと、ノイズ除去の実現に向けて引き続き努力する。刺激部位と記録部位を遠ざけることが重要かもしれず、大脳での細胞外記録にも挑戦したい。
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Causes of Carryover |
実験の進行が滞っており、ラットや薬剤費が予定より少なく済んだため。
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Research Products
(4 results)