2018 Fiscal Year Research-status Report
痛みの遷延化に関与する内因性鎮痛機構の可塑的変化の解明
Project/Area Number |
18K16471
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
須藤 貴史 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60739621)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 内因性鎮痛 / 青斑核 / ノルアドレナリン / アセチルコリン |
Outline of Annual Research Achievements |
搬入予定であった遺伝子改変動物に当大学の飼育施設の感染症規定に該当する項目が判明し、ナショナルバイオリソース「ラット」に動物作成を依頼した。動物の搬入時期に遅れが生じたため、報告書作成時点においては当初予定した実験の一部のみ実施できた状態である。現時点では遺伝子改変動物の繁殖と遺伝子発現確認作業が安定して行える状態となり、特別な処置を行っていない状態での痛みに対する反応性の確認など基本的な行動実験を行った。ラットの成熟を待って予定した神経障害性疼痛モデル作成後の鎮痛薬の作用に変化が見られるかについての行動実験およびマイクロダイアリシスなどの実験を行う。 ラット到着までの期間は、野生型ラットにおける神経障害性疼痛モデルを用いて本研究の目的の一つである青斑核の刺激に対する応答性の変化と鎮痛薬の鎮痛作用との関係性について検討を行った。神経障害性疼痛モデルを作成した術後6週では、慢性痛に広く使用されているデュロキセチンの鎮痛作用がモデル作成の術後早期と比較すると減弱することが判明した。マイクロダイアリシスを用いた実験から、脊髄におけるアセチルコリン濃度の変化に差があり、ノルアドレナリンのみならず、アセチルコリンの関与も示唆された。今後は当初の予定通り、遺伝子改変動物を用いて人為的に青斑核を興奮・抑制を行った時のガバペンチンノイドおよびデュロキセチンの鎮痛作用の変化とノルアドレナリン、アセチルコリンの放出様式についてマイクロダイアリシスを用いた検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初搬入を予定していた個体が、当大学の実験動物飼育施設の感染症規定から逸脱したため、新たにナショナルバイオリソース「ラット」に精子からのラット作成を依頼した。このため遺伝子改変動物の搬入までに約1年の時間を要した。現在は繁殖を開始しており、遺伝子の発現確認などの技術も確立できた。導入遺伝子の発現した個体を使用した検討の予備実験を進めている。ラット到着を待つ期間は上述した動物モデルを用いた検討を行い、一定の実験結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に予定されていた実験計画には遅れが出たが、別視点からの検討を行うことができた。動物到着までに時間を要したため、光遺伝学的手法を薬理遺伝学的手法に変更することも検討する。薬理遺伝学的手法では中枢神経系を部位特異的に刺激することは比較的困難であるが、光ファイバー埋め込みのズレや長期の留置に伴う脱落を考慮する必要がなく、動物のロスが少ないものと考えている。確実性と研究機関、費用面から有効であると思われる。実験内容は当初の予定通り、青斑核を人為的に興奮・抑制した時の疼痛刺激に対する逃避反応を観察し、遺伝子改変動物と神経障害性疼痛状態での遺伝子改変動物との比較を行う。
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Causes of Carryover |
実験動物に感染症が判明したため、当初計画していた実験を行うことができず、関係した支出が少なかった。ただし、年度内に感染症のない動物が到着し、予定通りの物品購入を行ったため差額は比較的小規模となった。来年度はこの次年度使用額をもともとの予算計画に加算し、当初予定していた実験を行うための物品購入と成果発表に使用する。
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Research Products
(2 results)