2019 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on effects of serotonin in neuron-glia interaction for opioid-induced hyperalgesia.
Project/Area Number |
18K16475
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐々木 美佳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20774061)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セロトニン / アストロサイト / モルヒネ / オピオイド誘発性痛覚過敏 |
Outline of Annual Research Achievements |
6~8週齢のC57BL/6N雄性マウスを用いて、モルヒネ塩酸塩20mg/kgを1日2回4日間連続腹腔内投与した結果、投与3日目から痛覚過敏が発症しその後5日目まで持続した。これをモルヒネによる痛覚過敏(OIH)モデルマウスとした。 OIHを発症する物質としてセロトニンの関与を検討した。セロトニン受容体拮抗薬オンダンセトロン(OND)とモルヒネを同時投与した結果、OND2mg/kgとの同時投与で抑制傾向がみられた。セロトニン合成阻害剤parachlorophenylalanine(PCPA)をモルヒネ投与5日前から腹腔内投与しその後PCPAとモルヒネの同時投与をした結果、OIHの発症は完全に抑制された。 さらにONDおよびPCPAのOIHに対する抑制効果について検討するため、OIH発症時のセロトニン発現やMAP kinaseの発現、グリア細胞の活性化についてマウス脊髄後角での発現変化を検討した。その結果、モルヒネ投与5日目のOIHモデルマウスの脊髄後角でセロトニンの発現増加がみられた。その発現増加はOND同時投与で抑制されなかった。さらに、PCPA前処置後もPCPAを継続してモルヒネと同時投与した結果、OIHも抑制されセロトニンの発現量も増加しなかった。 次に、MAP kinaseのうちERKのリン酸化について検討した結果、OIH発症でリン酸化ERKの増加傾向が認められたが、ONDおよびPCPAの併用による抑制効果はなかった。また,アストロサイトの変化を検討した結果OIH発症で免疫組織学的にはアストロサイトの発現増加や形状変化が認められたが、ONDおよびPCPAの効果はアストロサイトのマーカータンパクに対する定量では差がみられなかった。 以上の結果から、モルヒネによるOIHの発症はセロトニンの関与が強く示唆された。
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