2020 Fiscal Year Annual Research Report
protein binding rate of remifentanil in clinical usage
Project/Area Number |
18K16476
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
植田 広 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40748498)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 蛋白結合率 / レミフェンタニル / 臨床 / 平衡透析 |
Outline of Annual Research Achievements |
レミフェンタニルの蛋白結合率は、医薬品添付文書によると約75%とされている。これは、in vitroの試験結果である。我々は本研究に先立ち、「人工心肺中のレミフェンタニル の蛋白結合率変化」の研究を実施した。この中で、レミフェンタニルの蛋白結合率が人工心肺使用中に有意に低下する事だけでなく、臨床使用における蛋白結合率自体が非常に低い値である可能性を見出した。 本研究では、人工心肺の使用に限定せず、臨床使用中のレミフェンタニルの蛋白結合率がどの程度であるのかを目的として血中濃度と蛋白結合率を測定した。測定の結果、平衡透析法により蛋白に結合していない分画(遊離分画)を分離して蛋白結合率を測定した場合、臨床使用中(人工心肺を使用していない状態)の患者血漿中レミフェンタニルの蛋白結合率は約25%で、添付文書の蛋白結合率より明らかに低い結果であった。 薬剤は血中で蛋白に結合していない分画が薬効を示す。今回得られた結果は、臨床使用においては蛋白結合率が予想より低い、つまり遊離分画が想定より多い事を示し、予測される薬効よりも強い効果が出ている可能性がある事を示唆する。従って、臨床で使用するにあたり、レミフェンタニルの使用量を見直す必要があるのかもしれない。勿論、in vitroの試験と本研究では遊離分画の分離方法も異なるためさらなる検証が必要であり、本研究の結果をそのまま臨床に適用する事には慎重になるべきであると考える。 また、副次的に、室温静置下におけるレミフェンタニルの血漿中濃度は、2時間で元の80%程度の割合で直線的に低下するという結果も得られた。この低下速度は、レミフェンタニルの血中半減期よりも明らかに遅い。血漿中にはレミフェンタニルを分解する酵素が多くないか、ある環境ではレミフェンタニル自体がゆっくりと自然に分解していく性質を持つ可能性がある。この点についても今後検証する。
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