2018 Fiscal Year Research-status Report
乳癌細胞のエストロゲン受容体転写活性に及ぼす全身麻酔薬の影響
Project/Area Number |
18K16477
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮井 善三 京都大学, 医学研究科, 助教 (10785463)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | エストロゲン / 乳癌 / 麻酔薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔薬や麻酔方法が、癌の長期予後に影響することを示唆する臨床研究が集積しつつある。一方、麻酔薬が癌細胞にどのような影響を与えるかについての基礎的な知見は十分であるとはいえない。乳癌は、現在顕著な増加傾向にあり、また術後再発の有無は患者予後に決定的な影響を及ぼすため、乳癌手術において麻酔方法を含めた、再発を予防するための周術期マネージメントの確立は、臨床上の重要な課題であると考えられる。申請者は、乳癌、とくにエストロゲン受容体(ER: estrogen receptor)陽性乳癌細胞において、核内受容体であるERの転写活性がその増殖、進展に不可欠であることに注目し、全身麻酔薬が、乳癌細胞にどのような影響を及ぼすかを、ERの転写活性を中心に検討した。エストロゲン受容体陽性細胞株MCF-7の増殖 (MTTアッセイ) および遊走 (スクラッチアッセイ) が、代表的全身麻酔薬であるプロポフォールとセボフルラン、デスフルランによってどのように影響をうけるかを確認し、さらにエストロゲン-ER系の転写活性が、麻酔薬によってどのような影響を受けるかをリアルタイムRT-PCR法を用いて明らかにした。まず、研究としてはMCF-7細胞株を使用してエストロゲンを投与した際の、代表的エストロゲン受容体応答遺伝子の誘導がどのように麻酔薬によって変化するかを検討した。しかしMCF-7はエストロゲンで刺激した場合の同遺伝子の誘導がごくわずかでしかなく、差を検討するにはこれが小さすぎるため、他の方法で転写活性を評価する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MCF-7細胞におけるエストロゲン刺激のPCR上の誘導が明らかでなかったため、この方法では麻酔薬の作用を明らかにすることは難しいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
エストロゲン受容体の転写活性をELISA法によって評価する予定である。
|