2018 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質第一次体性感覚野の生体イメージングによる疼痛発症・維持機構の病態解明
Project/Area Number |
18K16482
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡田 卓也 神戸大学, 医学部附属病院, 非常勤医師 (70792935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体イメージング / 疼痛 / 大脳皮質第一次体性感覚野 / 化学遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、疼痛モデルマウス(術後痛モデルおよび炎症性痛モデル)を作製し、疼痛行動評価(機械刺激・熱刺激)を試行した。術後痛モデルマウスでは、約1週間の疼痛閾値の低下を認めたのに対し、炎症性痛モデルマウスでは約10-14日間の疼痛閾値の低下を認めた。また2光子顕微鏡を用いて動物疼痛モデル(術後痛モデルおよび炎症性痛モデル)の大脳皮質体性感覚野の同一神経細胞集団を可視化し経時的に追跡後、数理学的解析を行った。術後痛モデルおよび炎症性痛モデルの両モデルで急性疼痛期に神経活動の上昇および各神経細胞間の相関性の上昇が認められた。観察中に感覚刺激(機械刺激・熱刺激)を与えることで、大脳皮質第一次体性感覚野の神経細胞集団が応答することも2光子顕微鏡にて観察した。さらに化学遺伝学的手法を用いて神経細胞集団の活動を制御し、疼痛閾値の評価を行った。大脳皮質体性感覚野の神経細胞集団の活動を活性化させることで疼痛閾値の低下を認めた一方で、大脳皮質体性感覚野の神経活動を抑制することで疼痛閾値の緩和が認められた。大脳皮質体性感覚野の神経細胞集団の活動の制御で疼痛閾値の変化が認められたことから、大脳皮質体性感覚野の神経細胞集団が疼痛の発生・維持に関与することが示唆された。これらのことを、2018年に開催された日本神経科学大会・近畿生理談話会・米国神経科学大会などで発表を行った。今後はさらに、回路特異的に神経活動を操作することで疼痛発生・維持のメカニズムを検討することとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部モデルマウスの変更や神経活動の操作の方法を変更したが、おおむね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、回路特異的に神経活動を操作することで疼痛発生・維持のメカニズムをさらに検討する。 また加えて、イメージングだけでなく分子の面から病態のメカニズムを探求していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進んでいるが、少し計画との時間的相違を生じたため、次年度使用額が生じた。翌年度、引き続き試薬の購入や慢性疼痛モデルマウスの作製・2光子顕微鏡での生体イメージングの研究を継続する予定である。
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Research Products
(3 results)