2018 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬の心筋保護作用―サーチュインとミトコンドリア機能調節の役割―
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18K16483
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
角田 奈美 徳島大学, 病院, 講師 (00622606)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / プレコンディショニング / サーチュイン / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
短時間の虚血再灌流がその後の長時間の虚血に対する心筋梗塞サイズを減少させるという報告がなされた(Murry et al., Circulation 1986)。短期虚血によるプレコンディショニング(IPC)と呼ばれるこの現象は、虚血によって障害される心筋を保護するという観点から、臨床的に有用性の極めて高い発見であった。 吸入麻酔薬であるイソフルランにおいても、前投与によって同様の心筋保護効果が得られることが報告されている。(Kersten et al., Anesthesiology 1996)。この吸入麻酔薬によるプレコンディショニング(APC)はIPCメカニズムと類似した部分が多いことが知られている。 Sirt遺伝子はサーチュインsirtuin遺伝子とも呼ばれ、クラスIIIヒストン脱アセチル化酵素であり、遺伝子の転写制御において重要な役割をはたしていることで知られている。 なかでもSirtは心血管系に作用することが報告され、ミトコンドリアに多く分布していることが知られている。さらに、近年の研究によると心機能の制御や虚血に対する心筋耐性をコントロールする作用についても報告されている。 そこで、本研究において申請者らは、イソフルランの投与でSirtの発現が増加し、ミトコンドリアダイナミクスが与える影響を明らかにすることで、虚血プレコンディショニングの経路の解明に寄与することを目的とする。 本年度は、APC刺激後のSirt発現をRT-PCR法およびイムノブロッティング法にて確認することで、イソフルランによってSirtの発現が上昇することを確認した。マウスに吸入麻酔薬イソフルランを吸入させた後(APC刺激)、心臓を取り出しホモジナイズしRT-PCR、イムノブロットを用いRNA及びタンパクレベルにおいてSirtの発現が増加していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究目的には、初年度にAPC刺激後のSirt発現をRT-PCR法およびイムノブロッティング法にて確認する、と記載してあり、研究実績の概要に示すとおり進捗度合いは同じであり、おおむね順調と思われる。また、さらに、マウスin vivo 虚血再潅流モデルを用いて対照群、APC群において心筋梗塞サイズを測定比較する実験に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスin vivo 虚血再潅流モデルを用いて対照群、APC群において心筋梗塞サイズを測定比較する。同様に、Sirtの誘導剤、阻害剤を前投与しSirtのAPC作用における関与を明らかにする。 マウスを人工呼吸下にAPC刺激を30分行い、その後、心臓冠動脈を30分間閉塞し、2時間の再潅流を行う。その後心筋梗塞サイズを測定する。Sirtの誘導剤であるresveratrol、Sirtの阻害剤であるnicotinamideをAPC刺激前に投与し、同様の虚血再潅流実験を行う。
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Research Products
(1 results)