2018 Fiscal Year Research-status Report
新しい鎮痛薬の開発に向けたがん性痛におけるTRPA1の役割の解明
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18K16493
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
吉田 朱里 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40584777)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TRPA1 / がん性痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん性痛の機序は国内外で様々な研究がなされているが未だ解明されておらず、機序に基づいたがん性痛治療法は確立されていない。最近、骨がん痛モデルにおいて、TRPV1陽性神経自体ががん性痛に重要な役割を果たしていることが報告され、TRPV1陽性神経上に発現している分子ががん性痛に関与していることが推察されている。そこで本研究では、TRPV1陽性神経に特異的に発現しているTRPA1に着目し、がん性痛におけるTRPA1の役割を解明することを目的とした。 平成30年度は、足底がん性痛モデルの開発と評価を行った。足底がん性痛モデルは、雄性C57BL/6マウスの左足底皮下にLewis Lung Carcinoma(LLC)1x10^6/20 microLを全身麻酔下に移植し作製した。腫瘍増殖は足容積測定装置(Ugo Basile 37140)を用いて移植側の足容積を経時的に測定した。行動評価は、von Frey filamentによる逃避閾値および熱輻射装置(Ugo Basile 37370)を用いた侵害熱刺激に対する逃避潜時と、自発痛関連行動(2分間の観察期間中の足振り行動(flinching)や足舐め行動(licking)の回数)を経時的に測定した。 足底がん性痛モデルでは、経時的に腫瘍が増大し、自発痛の増強と、機械性および熱性痛覚過敏が生じることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、足底がん性痛モデルの開発と評価を行う予定であった。足底がん性痛モデルを作製し、経時的な腫瘍増殖の測定と行動評価(誘発痛および自発痛関連行動)を行った。 足底がん性痛モデルでは、経時的に腫瘍が増大し、自発痛の増強と、機械性および熱性痛覚過敏が生じることが明らかとなった。以上より、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、足底がん性痛モデルの評価を引き続き行う。足底がん性痛モデルマウスの後根神経節におけるTRPA1の発現量について、下肢および足底に投射するL3/4/5後根神経節(DRG)を摘出し、qPCRおよびウエスタンブロット法を用いてTRPA1mRNAとタンパクを定量評価し、対照マウスと比較する。また、足底がん性痛モデルマウスにおいて活性化される神経細胞を明らかにするために、L3/4/5 DRGを摘出し、各種神経マーカーとphosphorylated CREB (pCREB)の二重染色を行う。次いで、全身麻酔下にマウスを脊椎定位固定器に装着し、L3-5レベルでの脊髄単一細胞外電位記録を行う。脊髄細胞の自発発火頻度を測定記録し、対照マウスと比較検討する。
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