2018 Fiscal Year Research-status Report
脳内麻酔作用部位の同定と遺伝子変化の網羅解析-術後脳機能障害の機序解明に向けて-
Project/Area Number |
18K16499
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
森 啓介 日本医科大学, 医学部, 助教 (60809375)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | セボフルラン / 遺伝子変化 / 網羅解析 / 術後認知機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 全身麻酔の作用機序, および副作用機序の解明のために,①セボフルランによる全身麻酔により神経活動の活性化が惹起される脳領域の同定,②その領域での遺伝子発現の網羅的解析を詳細に記述することにある.2018年度の実績として (1):免疫染色とin situ hybridizationによりセボフルランに応答する脳部位の同定を行った.セボフルラン麻酔により,カジェハ島・嗅球の一部・視床下部室傍核・下オリーブ核でc-Fosの発現が確認された.蝸牛神経核でもc-Fos発現が確認されたが,これは麻酔によるものではなく麻酔器の作動音による影響を受けていたことが明らかとなった. (2):上記の結果より,c-Fos発現部位の網羅的遺伝子発現解析を行うために,レーザーマイクロダイセクションによる微小脳領域採取の準備中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2018年度にセボフルランに応答する脳部位の同定を終え、その結果を踏まえてレーザーマイクロダイセクションによる微小脳領域の採取を行う予定であったが,免疫染色およびin situ hybridizationによるc-Fosの可視化・定量に時間がかかった為、レーザーマイクロダイセクションによる採取に取り掛かる事が出来なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
免疫染色とin situ hybridizationによって明らかとなったセボフルランに応答するc-Fos発現部位をレーザーマイクロダイセクションにより採取し,領域ごとの網羅的遺伝子発現解析を行う.また同様に対象群のラットでも遺伝子発現変化の網羅解析を行う.発現アレイ解析の結果を確かめるために変化量が大きかった遺伝子をピックアップし,RT-PCRによる発現確認を行う.ピックアップされた遺伝子の生理学的作用や遺伝子構造を明らかにするためにバイオインフォマティクス解析を予定している.これらの結果をまとめた学会報告論文発表を予定している.
|
Causes of Carryover |
免疫染色とin situ hybridizationによるc-Fos発現部位の同定に予定より時間がかかったため、2018年度に取り掛かる予定であった脳部位ごとの網羅的遺伝子発現解析を行うことができなかった。そのため、今年度に網羅的遺伝子発現解析を行う予定である。
|