2019 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of hydrogen gas inhalation on crush syndrome
Project/Area Number |
18K16516
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
湯本 哲也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80535790)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 虚血再灌流傷害 / クラッシュ症候群 / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大地震などの大規模災害時に四肢を長時間圧迫されたことにより生じ、高い死亡率を呈するクラッシュ症候群に対する特異的な治療法となりえる水素吸入療法を、ラットを用いた動物実験モデルで検証し、その分子メカニズムの解明を目指すことである。 2018年度はラットクラッシュ症候群モデル装置の作成と実験機器の購入、続いてモデルの再現を行った。本モデルは既に確立されてはいるが、当施設で作成したモデル装置を用いてその再現性の確認を行った。6時間の両側大腿部の圧迫により圧迫解除3時間後、24時間後の筋原性酵素や肝逸脱酵素の上昇、腎機能障害の悪化を認めた。また、病理組織学的にも大腿筋の出血や浮腫性変化、炎症細胞の浸潤、また遠隔主要臓器の障害を確認した。ただ、大腿部とはいえ圧迫部位のわずかな差異や圧迫中、圧迫解除後の輸液量により臓器障害の程度にばらつきが出たため、実験を繰り返すことによって安定した再現性を確認する必要がありこれに時間を要した。最終的にラットは8から9週齢で体重250-300gを用いること、圧迫時間、厳密な圧迫部位、輸液量を固定化し安定したモデルを作成することができるようになった。 続いて、水素吸入療法の検討を開始した。専用の密封されたケージを作成しそこから1.3%濃度の水素ガスを連続的に吸入させることにより、特に24時間後の死亡率の低下や肺、肝、腎といった遠隔主要臓器障害の組織学的な軽減、また各種生化学マーカーの軽減を確認することができた。
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