2022 Fiscal Year Research-status Report
The effect of hydrogen gas inhalation on crush syndrome
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18K16516
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
湯本 哲也 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (80535790)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素ガス / クラッシュ症候群 / 虚血再灌流障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はクラッシュ症候群に対する水素吸入療法の効果とそのメカニズムをラットを用いたモデルで検証した。専用に作成した機械でラットの両大腿部を3kgの重りで6時間圧迫し、圧迫解除直後に、1.3%水素+21%酸素+77.7%窒素の混合ガスを吸入させた水素群と、21%酸素+79%窒素を吸入させた窒素群、及び圧迫を行わないsham群を作成し、ラットクラッシュ症候群のモデルを確立した。令和4年度は生存率を評価し、圧迫解除後24時間の生存率は水素群100%、窒素群44%と水素群で有意に高かった。続いて圧迫解除18時間後の血液ガスや生化学検査を評価した。組織低灌流や虚血を反映する乳酸値は水素群で有意に低く、筋損傷の程度を表す血中のCK値は水素群で有意に低値であった。しかしながら、血液ガスで酸塩基平衡や酸素化、換気の指標, 肝機能障害の程度を表すAST, ALT、カリウム値や腎機能障害の程度を表すcreatinineは両群で有意差を認めなかった。水素群で循環動態を改善させることが生存率を改善させたかもしれないが、その他の臓器障害の軽減について、有意差を認めなかったことはサンプル数が少なかったことも影響しているかもしれないと考えられた。組織学的検討では、圧迫部の大腿直筋の筋障害スコアが水素群で有意に低かった。以上より、ラットを用いた水素吸入療法はクラッシュ症候群後の24時間生存率の改善に寄与し、これは水素吸入療法が圧迫部の直接的な筋損傷の程度を軽減することによることが1つのメカニズムであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの研究が進行し、その研究が論文として出版に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
水素吸入療法が、クラッシュ症候群における直接的な筋損傷を軽減するメカニズムおよび腎不全をはじめとする臓器障害軽減のメカニズムについて検証する。
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Causes of Carryover |
研究が順調に進み、物品費用が抑えられた。必要に応じて追加実験と論文作成・投稿費用に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)