近赤外時間分解分光法を用いた非侵襲的リアルタイム脳酸素代謝モニタリング法の構築

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K16520
• Research Institution: Kagoshima University
• Principal Investigator: 江口 智洋 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (30813159)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 近赤外時間分解分光法

Outline of Annual Research Achievements

今回我々は、TRSで脳をモニタリングしながら水素ガス吸入療法を実施し、その有効性を脳の酸素化と散乱係数の変化から評価する研究を計画した。本研究では中型動物の蘇生後脳症モデル(低酸素性虚血性脳症モデル)を作成し、(1)近赤外光時間分解分光装置(TRS)を用いて蘇生後急性期の病態変化(自己心拍再開後の脳血液量の増加、酸素代謝の低下、脳浮腫の増悪)を正確にモニタリングできるのか(2)水素ガス吸入が蘇生後脳症に有効であるのか、を研究期間内に明らかにする予定とし、当年度は(1)を目的とし実験を行った。
方法:全身麻酔、挿管管理下のブタの挿管チューブを閉塞し、窒息・低酸素血症に伴う心停止を誘発する。心停止後閉胸式心マッサージと同時に人工呼吸を再開、アドレナリン投与による蘇生を行い、自己心拍を再開させた。その際、近赤外光時間分解分光装置(TRS)を頭部に装着し、脳内ヘモグロビン酸素飽和度やミトコンドリア内チトクロームオキシダーゼ酸化―還元状態、組織の散乱係数を連続的にモニタリング、MRIによる画像評価にて組織の障害度を評価している。計測プローブは頭皮を剥がし頭蓋に直接プローブを固定した。その他今年度は窒息モデルに加え心室細動による心原性心停止モデルについても同様に評価した。
結果:蘇生後脳症モデルに関してはプロトコルをある程度確立することができ、計測に関してもプローブを固定する位置等の調整を行い測定精度の安定化を図れた。持続モニタリングに難渋したが、脳内ヘモグロビン酸素飽和度や組織の散乱係数についてある程度有意なデータの蓄積ができているが、コロナの影響もあり農学部へ移動してのMRI使用ができない状況にあり画像評価による組織障害が行えていない。
方針:動物実験データを蓄積していくとともに持続モニタリング法の確立を継続して検討していく。MRIでの評価も行いたい。水素吸入に関しても進めていきたい。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

実験ペースに関しては大きく問題ないが、コロナの影響もあり農学部での頭部MRI施行できていない。
コロナウイルスの影響もあり動物の買い付けや施設移動などに留意する必要がある。

Strategy for Future Research Activity

動物実験データの蓄積とともに、画像評価、水素ガス吸入が蘇生後脳症に有効であるのかを検討していく。

Causes of Carryover

コロナの影響で想定よりも実験回数が減り、学会参加もなかったため。
本年度は研究資機材の購入、学会参加に使用する予定である。