2020 Fiscal Year Annual Research Report
molecular biological mechanisms of lung injury induced by post-hemorrhagic shock mesenteric lymph
Project/Area Number |
18K16523
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
倉橋 和嘉子 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (80792944)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | microRNA / 腸間膜リンパ液 / 出血性ショック / 肺障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
出血性ショック後亜急性期に発生する肺障害のコントロールは多発外傷患者の全身管理の要であり、その機序解明は必須の課題である。これまでの研究で、出血性ショック蘇生後の腸管虚血・再灌流により分泌される腸間膜リンパ液が肺障害を引き起こすことがわかっている。しかし、遠隔に存在する臓器まで生理活性を保ったまま移動し、働くのかと疑問を感じていた。 miRNAは22塩基程度の蛋白に翻訳されないnoncoding RNAであり、mRNAの翻訳の阻害と切断という2つのプロセスで標的になる複数の遺伝子を制御している。miRNAはRNA分解酵素の存在のため単体では体液中に存在できないが、miRNAキャリアを介して遠隔臓器の細胞まで移動でき、そのレシピエントの細胞内でも機能を発揮することができ、様々な疾患との関連が報告されている。 そこで本研究は「出血性ショック後肺障害の原因にmiRNAが関係しているのではないか」と仮説を立て、「虚血腸管からリンパ液中に産生されるmiRNAが肺障害発生に関与しているか」を明らかにすることを目的とした。 リンパ液中のmiRNAの存在が明らかではなかったので、まず正常ラットのリンパ液中にmiRNAが多数存在することを確認した。次に出血性ショック前後での腸間膜リンパ液の発現パターンの差異を解析し、複数のmiRNAが出血性ショック蘇生前後で発現量に変化を認めた。これらの腸間膜リンパ液miRNAが出血性ショック後肺障害の発生の一端を担っている可能性が示唆された。
|