2018 Fiscal Year Research-status Report
病院前心肺蘇生法術における脳組織酸素飽和度と自己心拍再開率の関係についての検討
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18K16524
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
津久田 純平 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20771562)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 院外心肺停止 / 脳組織酸素飽和度 / 心肺蘇生法 |
Outline of Annual Research Achievements |
院外心肺停止(OHCA)患者の心肺蘇生法(CPR)において、質の良いCPRは頻度100-120/min、深度5-6cm、完全なrecoil、などの指標で評価されることが多いが、頻度と深度合わせて50%程度で正しく胸骨圧迫が行えていないことがわかっている。そもそも質の良いCPRを施しても脳への血流は30-40%しか担保されておらず、質の良いCPRと脳血流の関係性を正しく評価できるツールがなかった。また救急隊の搬送記録から覚知から病院着までの時間は約30分であること、狭い車内で質の良いCPRの割合は上記割合よりも低下することが予想されるなど、病院までの質の良いCPRの指標が必要であるが、これまではそれに見合った機器がなかった。 今回脳組織酸素飽和度を測定することで、現状のガイドラインで行われている胸骨圧迫と脳組織酸素飽和度の関連性を評価し、自己心拍再開率の関係、さらに様々な脳組織酸素飽和度(初期値、平均値、最大値、最小値、病着時、変化)の中どの指標がもっとも自己心拍再開率に寄与するのかを検討し、今後の胸骨圧迫のあり方について新たな提唱が出来る様な救急車内での脳組織酸素飽和度の有用性について研究することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ポータブルの脳組織酸素飽和度を測定する機器を近隣の5隊に科研費を使用し貸し出した。過去のデータからその5隊で扱うOHCA症例は年間80-90例であり、その中で内因性疾患による成人のOHCAとすると年間70-80例の症例が集まれば十分かと思っていたが、機器の問題で測定できなかった症例を合わせると100例を超えるデータが集まった。近隣の消防署への頻回の説明と医局員の協力もあり、上記集積が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
この1年は集積したデータを用いて脳組織酸素飽和度を用いた胸骨圧迫の標準化に向けて国内外で発信をしていきたい。発信の中で、論文作成を行い、publishされるように救急ジャーナルへの投稿を始める予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加や脳組織酸素飽和度の測定を数多く研究している施設見学も見込んでいたが、事情があって参加を見合わせることになったことで旅費が大幅に縮小となった。また症例の集積によっては追加の研究も見込んでいたが、予想を大幅に上回る形で集積出来た事で順調に研究がすすんだことも限度額使用に至らなかった理由だと思われる。今年度は国際学会での発表や施設見学を推し進めていきたい。
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