2019 Fiscal Year Research-status Report
老化促進マウスにおける敗血症関連脳障害の機序-神経炎症からの検討-
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18K16527
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
干野 晃嗣 北海道大学, 大学病院, 助教 (40802434)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 敗血症 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)老化促進マウスの海馬における敗血症急性期のミクログリア活性化についての検討 盲腸結紮穿孔(CLP)モデルを作成するCLP群と開腹のみ行う偽手術群のそれぞれにおいて、24時間後の海馬を採取した。両群の海馬CA1領域のミクログリア活性化について、Iba-1抗体を用いて免疫組織化学的検討を行った。ミクログリア活性化は形態学的な変化を観察し、盲検化した上でgradingを行うことで検討した。実験はSAMP8、SAMR1においてそれぞれCLP群、偽手術群を作成し4群において比較検討を行った。結果、SAMP8のCLP群においてのみミクログリアの有意な活性化が認められた。前年度における結果である、炎症性サイトカイン発現がSAMP8のCLP群でのみ亢進していたELISAの結果を支持するものであり、老化促進群では非老化群と比較し神経炎症が発生しやすい状況にあると考えられた。
2)IL-1ra製剤を用いた末梢炎症と神経炎症の関係に関する検討 海馬IL-1βの発現が有意に亢進していたSAMP8のCLP群で、CLP作成時にIL-1raを皮下投与することで末梢炎症を抑制した群(IL-1ra群)と生食を投与した群(vehicle群)で、血中と海馬IL-1βの発現に違いが出るかをELISA法を用いて検討した。結果、IL-1ra群ではvehicle群と比較し、血中のIL-1βは有意に抑制されるが、海馬での発現は抑制されないことが判明した。これは海馬におけるサイトカイン発現は、末梢で発現したものがそのまま検出されている訳ではなく、中枢で産生されたものが主であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り実験は進行しており、次年度も申請段階で提示した実験を行う予定となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はIL-1raやIL-6抗体を用いた介入を行う。具体的にはこれらを海馬急性スライスに灌流投与し、敗血症急性期の海馬シナプス可塑性や基礎シナプス伝達に変化が現れるかの検討を行う。そして、これまでの結果を論文として報告する予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品として計上していたマウス使用数が予想より少なく済んだため当該助成金が生じた。これは、2020年度の実験でマウス代およびIL-6抗体などの薬品代として使用予定である。
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