2019 Fiscal Year Research-status Report
症候・診断・予後データ解析による新たな傷病診断スコアの開発
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18K16537
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片山 祐介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50747144)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 救急医学 / 緊急度判定 / 疫学 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、救急患者の症状の緊急度を図るアルゴリズムとしてCTAS(Canadian Triage Acuity Scale)やMTS (Manchester Triage System)などが考案され、本邦においても緊急度判定プロトコルやJTAS (Japanese Triage Acuity Scale)などが検討、運用されている。しかし、これらのアルゴリズムは成人及び小児に分かれているものの、性別などの患者の属性に応じた判定アルゴリズムとはなっておらず、また症状の緊急度を判定するのみであり入院の是非の予測や傷病の診断につながるものではない。 本研究の目的は、救急電話相談の緊急度判定プロトコルに基づき救急車が出動した症例を対象に、電話相談で得られた緊急度判定プロトコルの症候データと地域網羅的救急患者レジストリシステムで得られた診断・予後データを統合して、関連性を解析し新たな傷病診断スコアの研究開発を行うことである。 研究初年度においては、救急電話相談における緊急度判定プロトコルのデータ、救急車が出動した際に作成する救急活動記録、そして医療機関における診断名や救急外来の転帰、入院症例に限っては入院後21日時点での転帰といったデータセットを個別事例単位で統合した。2016年分データを対象とし、救急車が出動した4999例のうち、データ統合できたのは4293例であった(データマッチ率;85.8%)。 研究2年目にあたる2019年度においては、これらのデータセットを用いて緊急度判定プロトコールの判定結果と救急外来における転帰について評価した。これらの結果については第47回日本救急医学会総会・学術集会において発表し、現在論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の計画においては、緊急度判定結果と転帰については何らかの関係性があると見込んでいたが、2年目の解析結果においては関係性は認められなかった。今回行った解析はデータセット全体を対象とした解析であり、今後「急病/外傷」「小児/成人/高齢者」といったサブグループに分けて再解析を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、2年目で達成できていない課題を解決したうえで、当初の研究計画通りに各病態の診断につなげていくよう研究を継続していく。
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Causes of Carryover |
初年度の研究費の未使用分を繰り越して、二年目の研究を遂行したが研究費の一部を費消するには至らなかった。 研究費の未使用分については、最終年度の成果公表に向けた経費として支出する計画である。
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