2018 Fiscal Year Research-status Report
帯状束における注意機能の解析と温存を目指した覚醒下脳手術の新規開発
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18K16551
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣野 誠一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (30554258)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 覚醒下手術 / 帯状束 / 注意機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年4月から2019年3月の間に学会発表3回、ならびに筆頭著者として論文2報(公表1報、受理1報)を発表した。さらに2006年以降の覚醒下手術症例のうち、術中タスクとしてStroop test(ST)を導入した症例を対象に、術中STの結果や術前後のCAT(標準注意検査)、Trail making test (TMT)、STの変化を解析した。対象症例は20例(右半球8例含む)で、grade2/3/4はそれぞれ10例/3例/6例、腫瘍体積中央値は24.1ccで、術前MRIで腫瘍がcingulumと接し、摘出時のfunctional boundaryになり得る症例が8例含まれていた。皮質・皮質下マッピングのための双極刺激強度の中央値は3.0mAだった。全例において、皮質マッピングでSTで正答不能となる部位は同定されなかったが、腫瘍がcingulumと接していた5例中3例で、cingulumへの刺激でSTに正答不能となった。術後画像検査でcingulum温存例は非温存例に比べて術後のTMT、ST、CATの一部の下位検査で成績悪化が軽度である傾向を認めた。さらに、cingulumの3つのsubdivisionのうち、特にparahippocampal segmentのdisconnectionで術後の注意障害の悪化が目立った。術後注意障害が目立つ例では転職や退職を余儀なくされた例も見られた。術後MRI評価では、残存腫瘍体積中央値 0cc (0-93.4cc)、摘出率中央値 98.9%(32.6-100)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
引き続き症例を蓄積し解析を進めている。2018年4月から2019年3月までに覚醒下手術を24例実施しており、引き続き症例の蓄積に努める。また、過去の手術症例でも組み込み可能な症例については解析対象に加える。
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Strategy for Future Research Activity |
帯状束を術中に電気生理学的に高感度に同定するための刺激条件や術中課題の開発が必要である。現在までのところ、STやRME(read the mind in the eyes)テストでは感度が必ずしも高くなく、手術中に帯状束を機能的に同定できていないが、術後の各種検査バッテリーでは帯状回の残存容積と注意機能の成績に一定の相関が見られることから、帯状束をより高感度に同定できる課題を複数開発していくと同時に、症例の蓄積に努める。
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Causes of Carryover |
学会参加のための旅費が当初予定よりやや多かった一方で、予定していた物品と同等の機能の物品を想定よりも廉価で購入することができた結果、物品費その他に剰余が生じた。翌年度は研究成果をまとめ、発表するための費用として用いる予定である。
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Research Products
(4 results)