2020 Fiscal Year Research-status Report
Regeneration of cerebral cortex using pluripotent stem cell-derived cerebral organoids.
Project/Area Number |
18K16558
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬塲 庸平 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (20577465)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大脳オルガノイド / 大脳皮質 / 再生 / iPS細胞 / 多能性幹細胞 / outer radial glia |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に開発した、非生体吸収性スキャフォールドX上への大脳オルガノイド 集積方法の条件等を進め、安定的に作成する方法を開発した。多能性幹細胞から誘導開始したオルガノイド は、誘導後比較的初期の段階でスキャフォールド上に移行すると生育が良いことがわかった。スキャフォールド上で誘導した大脳オルガノイド(大脳オルガノイド シート)を10週かけて成熟させると、神経上皮のマーカーであるPAX6の上昇、大脳皮質下層の皮質ニューロンのマーカーであるTBR1, CTIP2の発現上昇が経時的に見られ、70日目には上層の皮質ニューロンのマーカーであるSATB2の発現上昇が見られ、興奮性ニューロンのマーカーであるVGLUT1の発現上昇も見られることが明らかとなった。また未分化多能性幹細胞のマーカーであるOCT3/4の発現量は経時的に低下していた。誘導した大脳オルガノイドシートを組織学的に評価してみると、スキャフォールド上で成長した大脳オルガノイド はPAX6陽性細胞により構成される神経上皮組織とその周囲に積層した大脳皮質ニューロンを有していた。驚くべきことに、スキャフォールドに接した部位では、神経上皮組織はスキャフォールド内には侵入しない一方で、大脳皮質ニューロンは大量にスキャフォールド内に移動し、生着していた。NESTIN陽性の放射状グリア構造様の繊維が、オルガノイド よりシート内へと大量に進展し、皮質神経細胞の遊走や分化に関わっている可能性がある。さらに70日培養したスキャフォールド内に形成された大脳皮質ニューロンの分布を定量したところ、SATB2陽性細胞はTBR1陽性細胞より表層側に分布する傾向にあり、late born neuronがealy born neuronを超えて表層に位置するin-side out型になっていることがあきらかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた層構造を有するシート状の大脳皮質の作出には概ね成功している。現在、詳細な組織学的評価を行なっているが,既存の大脳オルガノイド法で作出した大脳皮質よりも大幅に厚い大脳皮質を形成することに成功していると考えている。ほぼ予定通り進展している。。 現在、大脳オルガノイド シート内の細胞の詳細な組織学的評価(outer radila gliaの存在や分裂細胞の評価)などを行いつつ、皮質損傷モデルラットへの移植系の確立を進めている。 移植についても皮質損傷モデルラットの作成工程、移植手術手技の確立は既に終了しており、複数回の移植実験を進めている。現在までの実験で生着率が低いことが明らかとなっており、シクロスポリンによる免疫抑制ラットにおける生着率を向上させる条件を検討中である。今後評価も用いるヒト特異抗体などの選定、染色条件などの設定も終えており、生着が確認できた段階で組織学的評価を行うことができると考えている。以上より当初の予定通りに進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
大脳皮質損傷モデルラットにおいて高い生着率で移植を達成するための条件の検討を行なっており、良好な生着が得られ次第、移植した大脳オルガノイド シートの生着、軸索投射、層構造などについて評価を行う予定である。これら評価と、これまでに行なった大脳オルガノイドシートの組織学的評価を合わせて論文にまとめる予定としている。また、我々の作出した大脳オルガノイド シートは、既存の大脳オルガノイド法で作出される大脳皮質様構造に比べ厚い構造構造を有し、またスキャフォールドを使用している特性から細胞の viabilityも比較的良好であると考えられる。新たなヒト大脳皮質のin vitroモデルとして提案できる可能性も考え、その特性評価をRNAseqや電気生理学的手法で評価するなどを検討している。
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