2018 Fiscal Year Research-status Report
重症頭部外傷の脳代謝についてメタボロミクス分析を用いた病態解析と予後予測の検討
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18K16559
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中井 友昭 神戸大学, 医学研究科, 助教 (60596089)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | brain injury / metabolomics |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年4月現在まで、5例の対象重症頭部外傷症例を経験し、脳脊髄液ないし末梢血液検体を採取した。各検体とも、採取後速やかに遠心分離し、上澄み液および血漿成分を分注し、ディープフリーザでの保存を行い、神戸大学大学院医学研究科質量分析総合センターにて、25μlずつメタボロミクス分析に供した。なお、約100種類の水溶性代謝物を網羅的に同定するとともに、内部標準物質としてSinapic acidを用い、その比により各物質について半定量化を行った。 現時点では、症例数の制限上、転帰良好群と不良群の2群判別には及ばないため、血液および髄液をともに採取し得た3症例について、血液ならびに髄液の判別や、経時的変化に富む物質の同定を試みるべくサブ解析的に多変量解析を行った。各症例検体に共通して検出し得えた46物質をMetaboAnalystソフトウェアにて解析した。結果、主成分分析により、主に第1主成分にて、血液ならびに髄液の判別に有用な情報を得た。また、第2主成分および第3主成分を用いることで、各検体内の経時的変化の分別が見られた。 これらのクラスター分けに寄与する物質を、Loading MapないしLoading Scoreにて抽出していくと、各症例とも種々の代謝物の関与が示唆されたが、共通する成分として、Pyrophosphoric acid、Uric acid、L-Lysine、2,3-Bisphospho-glyceric acid、Glycerol、D-Mannitol、D-Arabitolなどが挙げられた。なお、文献上、2,3-Bisphospho-glyceric acidについては、すでにOresic Mらの報告(EBioMedicine, 2016)にて、血漿中濃度と外傷転帰との関連が示唆されている。また、Mannitolについては、治療に伴う薬剤の影響を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象症例蓄積において、5症例の検体採取に成功したが、目標とする20例には到達していない。あくまで臨床サンプルを対象とした研究のため、今後も診療を継続しつつ、相応の検体蓄積を重ねていく必要がある。 前述の5症例については、水溶性代謝物に関し、上記メタボロミクス分析・解析の成果を得たとともに、現在、脂質生理活性代謝物(脂質メディエーター)に関して、各検体ともに50μlずつ分析に供し、網羅的検出による半定量化ならびに経時的変化を分析・解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらなる症例蓄積とともに分析を重ね、神経学的予後転帰に関わる物質を同定することを企図するが、上記成果欄での物質がその候補物質として含まれる場合、髄液あるいは血中濃度としての特異性の是非や、経時的変化を鋭敏にとらえ得るマーカーとしての役割を担うことが期待される。 現在までの成果については、今秋(10月)開催予定の日本脳神経外科学会第77回学術総会での発表により、成果公開を目指している。
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Causes of Carryover |
水溶性代謝物に対するメタボロミクス分析費、および、脂質生理活性代謝物(脂質メディエーター)に関する分析費とも、相応の検体数蓄積後にまとめて分析に供するとともに、支払いについては一連の解析終了後にまとめて振込予定のため、現時点では執行に至っていない。
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