2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト頭蓋骨骨髄間質細胞は重症神経疾患に対する新しい再生治療ソースとなるか?
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18K16561
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
光原 崇文 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (80571801)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 無血清 / 頭蓋骨 / 間葉系幹細胞 / 脳梗塞 / 移植 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は初年度におこなったラット細胞をもちいた間葉系幹細胞移植効果を、ヒト細胞を用いた移植効果の検討へと発展させた。ヒト頭蓋骨MSC(hcMSCs)の特性解析および移植効果確認のため、hcMSCsの細胞学的特徴と脳梗塞モデルラットへの移植効果について、ヒト腸骨骨髄由来MSC(hiMSCs)と比較検討した。hcMSCsはhiMSCsに比べ高い神経保護効果が期待され、脳梗塞後早期の投与でより効果的な機能改善が見込まれる結果であった。 本研究の内容の概要は、①細胞学的特徴を検討するため、神経堤マーカー、神経栄養因子の遺伝子発現をreal-time PCR法を用いて解析した。②脳梗塞モデルラット作製後3時間または24時間で、1,000,000個のhcMSCsもしくはhiMSCsを尾静脈から投与し、非投与のコントロール群も含め、神経機能を評価した。③In vitroでの神経保護効果を検討するため、NG108-15を脳梗塞後の二次的損傷を模した炎症あるいは酸化ストレスに3時間もしくは24時間曝露した後、hcMSCsもしくはhiMSCsの馴化培地を加え、24時間後のNG108-15の生存率を、馴化培地を加えないコントロール群も含め解析した。結果は①神経堤マーカー、神経栄養因子の発現はhiMSCsに比べhcMSCsで高かった。②脳梗塞モデルラットの神経機能は、脳梗塞3時間後の投与では、hiMSCsやコントロール群に比べ、hcMSCsの投与で神経機能が改善した。③hcMSCs馴化培地を加えることで、ストレス曝露後の細胞生存率が改善した。 本研究結果を論文化した(Neurologia Medico-Chirurgica, Volume 60, Issue 2, 2020, Pages 83-93)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2018年度)はヒト頭蓋骨由来骨髄間葉系幹細胞の効率的な樹立と分子生物学的検討を行い、ヒト頭蓋骨間葉系幹細胞を安定的に無血清培地で樹立培養し、その特性解析、分化能の確認を行った。またラット頭蓋骨由来間葉系幹細胞を用いて神経保護作用や栄養サイトカインの検討を行い、in vivoで脳梗塞モデルラットに投与しその効果を確認し、結果を論文化した。 本年度(2019年度)は初年度に確認したラット細胞での脳梗塞治療効果の検討を、ヒト頭蓋骨由来間葉系幹細胞での効果検証へと拡大し、結果を論文化した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度、次年度に得られた結果から、脊髄損傷モデルへの頭蓋骨由来間葉系幹細胞移植効果についての検証へと研究拡大行っている。脊髄損傷モデルは従来の胸髄損傷モデルでの後肢対麻痺モデルとともに、より重症の頚髄損傷モデルを作成した。また脳梗塞モデルでの検証においては最適な投与経路の探索を行っている。 これまでの非臨床研究の結果および頭蓋骨由来骨髄間葉系幹細胞の安全性、安定性を再生医療等委員会にて検討し、臨床研究「開頭外減圧手術を必要とする中等症以上の脳梗塞患者に対する自家頭蓋骨由来間葉系幹細胞の静脈内投与試験(研究代表者 光原崇文)」を開始した。
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Causes of Carryover |
本年度は物品費が見込みより節約されたため、次年度に繰り越しとなった。 次年度繰り越しでは、研究結果発表のための旅費、論文校正費などでの使用を予定している。
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Research Products
(11 results)