2020 Fiscal Year Research-status Report
シグナル伝達イメージング技術による、神経細胞死抑制剤投与法の開発
Project/Area Number |
18K16578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唐沢 康暉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (70812957)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | システム生物学 / FRETプローブ / 酸化ストレス / MAP kinase / 再生医療 / 相互情報量 / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血による神経細胞死では、酸化ストレスが重要な役割を果たしている。ラットの虚血モデルにおいて、虚血部位の周囲でMAPキナーゼがリン酸化がおこる。酸化ストレスによる神経細胞死において、シグナル伝達物質、MAPキナーゼの活性化が関与するといわれ、治療のターゲットの一つとして期待されている。 本研究では、酸化ストレスによる細胞死モデルであるマウスの海馬由来のHT22細胞を用いて、MAPキナーゼの活性化を反映するFRET(fluorescence resonance energy transfer)プローブを組み込み、酸化ストレスによるMAPキナーゼの活性化を、可視化、定量化する実験系を確立した。 本年度は,神経鞘腫術中モニタリングのデータから、情報理論解析の手法をもちいて、「顔の神経と筋肉の間で、どれだけ正確に情報のやりとりができるか?」という情報量(*)を計算し、ノイズであると考えられていたバラツキにも情報が潜んでいる可能性があることを示した論文を作成し国際誌(Cell Reports 2020)に出版した。 バイオベンチャー企業が主導した外傷性脳損傷に対する再生医療(細胞療法)の国際治験の中間評価の論文が出版された(Neurology 2021)。外傷が原因で脳が壊れて、手足の動きに障害がある46人の患者に、他人の骨髄の細胞を手術して脳に注入すると、運動機能が8点ぐらい良くなり、18人の患者は10点以上改善した。(運動機能は100点満点。比較対象の細胞を入れていない15名患者は、2点改善。)中枢神経への幹細胞移植における運動評価方法について国内学会で発表を行った(脳神経外科総会)。高脂肪食と肝細胞癌の発生機序に関する論文が受理され(Cancer research 2021)、次年度に出版予定となった。 (*)相互情報量:筋肉の縮み具合をどれだけ細かくコントロールできるか?
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定していたシングルセルイメージングの論文、再生治療の国際治験の論文が出版された。 受理され出版予定の論文もあり、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、酸化ストレスの実験および解析から得られた結果を元に論文作成を行っていく。再生治療、幹細胞移植の臨床応用にむけた準備、血中代謝物・ホルモ ン濃度変化に関する研究も進めていく。 新型コロナウィルス感染蔓延のため、大学での活動が制限されるが、実験を伴わない解析、論文作成を中心に研究活動を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの蔓延防止のため、大学の活動制限、研究室内の立入制限に伴い、物品費による機械の購入、人件費を翌年度以降に延期することにした。
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Remarks |
上記プレスリリースは、一般紙にも引用、紹介されている。https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP539526_X20C20A8000000/
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Fat Induces Glucose Metabolism in Nontransformed Liver Cells and Promotes Liver Tumorigenesis2021
Author(s)
Lindsay A. Broadfield, Roberta Planque, Kim, Yasuaki Karasawa, Francesco Napolitano, Suguru Fujita, Masashi Fujii, Miki Eto, Jia Zeng, James Dooley, Rebeca Alba Rubio, Jos van Pelt, Adrian Liston, Chantal Mathieu, Shinya Kuroda, Katrien De Bock, Sarah-Maria Fendt 他
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Journal Title
Cancer Research
Volume: 81
Pages: 1988~2001
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Cell Therapy for Chronic TBI2021
Author(s)
Kawabori Masahito, Imai Hideaki, Zinkevych Iaroslav, McAllister Peter, Steinberg Gary, Frishberg Benjamin , Chida Dai, Kaneko Takehiko, Karasawa Yasuaki, Paadre Susan, Nejadnik Bijan, Bates Damien, Stonehouse Anthony, Richardson Mark, Okonkwo David, et al.
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Journal Title
Neurology
Volume: 96
Pages: e1202~e1214
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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