2018 Fiscal Year Research-status Report
虚血脳のくも膜変性における慢性炎症の解析 新規治療の開発にむけて
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18K16591
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 比女 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30815452)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | くも膜 / 慢性炎症 / 慢性脳虚血 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、慢性炎症を背景とする動脈硬化などの種々の要因が及ぼす慢性脳虚血状態によって生じたくも膜の組織変性を病理学的な観点から解析し、脳虚血の活動性や脳卒中の再発リスクの予測を可能にすることとしている。当該年度では、基礎疾患によらず広く検体を収集し、くも膜とはなにか?くも膜の厚さとは?を解析することから開始した。検体はくも膜のみの場合は微小検体でありパラフィンブロック作成時に脱落する症例があり、約100症例のうち病理解析が可能であったのは74例であった。病理スライド上で厚さと線維芽細胞数、CD68陽性細胞数、CD86陽性細胞数、CD206陽性細胞数の平均値を測定した。くも膜の厚さは年齢・線維芽細胞数、CD68陽性細胞数、CD86陽性細胞数、CD206陽性細胞数と統計学的有意差をもって弱い相関がみられた。また、一部残存検体があった58例でrt-PCRを行い、TGFβ、TNFα、VEGFαのmRNA発現量を測定した。各種サイトカインは互いに強相関を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体は順調に収集できているため。 当初はくも膜のみの検体の病理固定に苦慮し、検体の微小さによる組織の脱落や熱負荷による変性などがみられたが、手技を獲得するうちに脱落症例がなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度までは、多種多様な基礎疾患を母集団として解析をおこなっていた。今後は疾患ごとに解析をおこない、慢性脳虚血状態を生成するような動脈硬化性疾患、難病指定である原因不明の頭蓋内主幹動脈狭窄を呈するもやもや病を主題にとりあげ、研究をすすめていく。
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Research Products
(1 results)