2018 Fiscal Year Research-status Report
Cdc42特異的活性抑制剤ML141は神経膠芽腫に対して抗腫瘍効果を発揮するか
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18K16597
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大倉 英浩 順天堂大学, 医学部, 助教 (60384046)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経膠芽腫 / Cdc42 / ML141 / 浸潤抑制 / 遊走抑制 / 増殖抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はCdc42特異的阻害薬であるML141の神経膠芽腫に対する抗腫瘍効果を明らかにする事を目的としている。我々はすでに、非活性型Cdc42が動物実験においてマウスの生存期間を有意に延長させ、腫瘍の大きさも小さいことを報告した。この事は、ML141を用いることにより、腫瘍を縮小できる可能性を示唆している。ML141による腫瘍縮小効果が明らかとなれば神経膠芽腫に対する有効な化学療法の1つとなる事が期待できる。
現在までのところ試験管内での実験を行った。まず、数ある神経膠芽腫細胞株の中でCdc42活性をしらべ、最も高かったU251, U373を今後の実験で使用することにした。この細胞株を用いて、ML141治療下のCdc42活性を測定し、活性が十分抑制されるML141の指摘濃度、15uM, 30uMを決定した。
ML141はU251, U373の細胞増殖、遊走能、浸潤能を濃度依存性に有意差をもって抑制した。 また、共焦点顕微鏡を用いた細胞骨格、細胞形態観察では、無血清培養の条件下でML141は、細胞の糸突起形成を抑制した。Cdc42は糸突起形成に関わっていることが知られており、ML141の治療効果とみられる。この現象は、血清培地条件下では認められなかった。しかしながら、増殖がとてつもなく速い神経膠芽腫の中心部は壊死を起こし栄養飢餓状態となっていることが知られており、この事は、飢餓状態にあると考えられる腫瘍中心部の細胞に対する試験管レベルでの糸突起形成を抑制することによって、細胞遊走、浸潤を抑制する可能性を示唆する現象でとても興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全く新しい環境での実験であり、準備に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ML141が細胞株の増殖を抑制したことが示されたので、細胞周期解析などによる、詳細な増殖能に対する解析を行っていく予定。 トロント大学との共同研究のもと、MRIガイド下収束超音波を用いたマウス神経膠芽腫細胞移植実験を行う予定。MRIガイド下収束超音波を用いての透過性を上げ、同様の実験を行い。i)生存期間をより延長するか、ii)腫瘍の大きさについて腫瘍抑制効果の相乗効果があるか検討する。
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Causes of Carryover |
共同研究の為の海外渡航費に使用する予定。 実験の試薬や、パソコン、ソフトなどを購入する予定。
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