2020 Fiscal Year Research-status Report
成長板軟骨損傷後の治癒過程におけるガングリオシドによる内軟骨性骨化制御機構の解明
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18K16605
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松岡 正剛 北海道大学, 大学病院, 助教 (70816066)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 成長板軟骨損傷 / ガングリオシド |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年に我々が行った基礎実験においてマウス成長板軟骨損傷モデルを確立した。本モデルは、25-G針によりマウス脛骨近位成長板に損傷を作製するものである 本モデルを用いてC57BL/6マウス雌3週齢を対象とし解析したところ、脛骨全長はSham手術を行った健側と比較して約4%低下し、臨床における骨端線障害を模倣するモデルとして使用できることが明らかとなった。さらに2019年に行ったガングリオシドシリーズの予備実験において当初予定していたGM3合成酵素ノックアウトマウスを用いるよりも、その下流のGD3合成酵素で合成される糖脂質の一群であるb-seriesの方が特に重要な役割を担うことが明らかとなったので、GD3合成酵素ノックアウトマウスコロニーの構築を行った。2020年度はこれまでの研究結果をもとにGD3合成酵素ノックアウトマウス、ならびに野生型マウスに脛骨近位成長板軟骨損傷モデルを適応し解析を行った。術後5週において、GD3合成酵素ノックアウトマウスで損傷を受けた脛骨全長の成長障害が野生型マウスと比較して、抑制される結果を呈した。損傷部に形成される骨橋は野生型マウスとGD3合成酵素ノックアウトマウスでは同程度であった。μCTでの解析結果では、成長板高については野生型とGD3合成酵素ノックアウトマウスでは同程度であり、GD3合成酵素ノックアウトマウスでは、通常骨橋形成に伴い抑制される成長板高が保たれており、損傷を受けた成長板軟骨細胞の生存活性に寄与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に当初予定していた系統とは違うノックアウトマウスのコロニー構築に時間を要した。さらに2020年度は世界的なCOVID-19の流行により、研究が大きく制限され遅延が生じた。現在は、COVID-19に配慮した研究計画を立案・実行し研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
μCTを解析に用いたマウス脛骨検体を用いて、組織学的解析を遂行する予定である。特にGD3の免疫染色を術後経時的に行い、その果たす役割を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の大規模な流行により研究制限が生じ、動物実験が一時的に中断し遅延が生じた。
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