2021 Fiscal Year Research-status Report
成長板軟骨損傷後の治癒過程におけるガングリオシドによる内軟骨性骨化制御機構の解明
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18K16605
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松岡 正剛 北海道大学, 大学病院, 助教 (70816066)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 成長板軟骨損傷 / ガングリオシド |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に行ったガングリオシドシリーズの予備実験において、当初予定していたGM3合成酵素ノックアウトマウスを用いるよりも、その下流のGD3合成酵素で合成される糖脂質の一群であるb-seriesの方が特に重要な役割を担うことが明らかとなったため、GD3合成酵素ノックアウトマウスコロニーの構築を行った。2020年度はGD3合成酵素ノックアウトマウス、ならびに野生型マウスに脛骨近位成 長板軟骨損傷モデルを適応し解析を行った。術後5週において、GD3合成酵素ノックアウトマウスで損傷を受けた脛骨全長の成長障害が野生型マウスと比較して、抑制される結果を呈した。損傷部に形成される骨橋は野生型マウスとGD3合成酵素ノックアウトマウスでは同程度であった。μCTでの解析結果では、成長板高については野生型とGD3合成酵素ノックアウトマウスでは同程度であり、GD3合成酵素ノックアウトマウスでは、通常骨橋形成に伴い抑制される成長板高が保たれており、損傷を受けた成長板軟骨細胞の生存活性に寄与していることが明らかとなった。 2021年度はGD3合成酵素ノックアウトマウスにおいて成長障害が抑制されるメカニズムを調整するために、損傷作製後3週での解析を行った。3週では脛骨長の短縮率は野生型マウスとGD3合成酵素ノックアウトマウスでは同程度であったが、損傷部の骨橋形成が阻害されていた。術後5週齢での解析結果と合わせると、GD3合成酵素ノックアウトマウスにおいて成長が促進される3-6週齢の期間に骨橋形成を阻害することで、成熟時の8週齢で成長障害が阻害されるということが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に当初予定していた系統とは違うノックアウトマウスのコロニー構築に時間を要した。さらに2020-2021年度は世界的なCOVID-19の流行により、研究が大きく制限され遅延が生じた。現在は、COVID-19に配慮した研究計画を立案・実行し研究を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
GD3の免疫染色を術後経時的に行い、その果たす役割を明らかにする予定である。また、生後3-5週齢のマウスより成長板軟骨を回収、培養しGD3合成酵素欠損が内軟骨性骨化に与える影響を網羅的遺伝子解析により調査する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で動物実験を想定より実施できなかったことで、飼育費などの動物実験関連の支出が少なかった。 しかし次年度は、その分多くの動物実験を実施予定であるため、特段に使用計画の変更は必要ないと予定している。
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