2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishing the new criteria for early knee osteoarthrits and its related biomarkers
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18K16606
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐々木 英嗣 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60587038)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 早期 / 疫学 / メタボローム / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
岩木健康増進プロジェクト健診では、平成19年度から変形性膝関節症(膝OA)の調査を施行しているが、本研究は早期膝OAに着目し、疫学調査を行っている。過去に明らかにされている膝OAの有病率はX線画像から診断され、女性での割合が高く男性の2倍程度になることが知られている。岩木プロジェクトへの参加者を対象にX線画像で膝OAを認めないながらも膝OAの前駆症状を有する早期膝OAを検出すると、各年代に男女問わず約10%程度存在することが明らかとなった。中でも50歳代の女性で有病率は最も高くなり、20%に達していた。進行期膝OAの有病率が50-60歳台の女性で急激に増加するという我々の過去の解析結果を裏付けるデータが示された。また、そのリスク因子解析を行うと加齢、女性、肥満、膝外傷の既往が検出された。過去のデータを含めて2年間の縦断解析を行ったところ、早期OAの約50%が進行期OAに移行しており、正常膝からのOA発症率に比較すると有意に発症率が高い結果であった。中でも肥満は早期OAから進行期OAへの移行率を加速する因子であることも明らかとなった。これはMRI検査での2年間の縦断的解析での半月板変性断裂の発症や内側逸脱進行のリスク因子解析から肥満が影響因子であるという結果からも裏付けされるものと考えられた。その一方で約3割の早期膝OAは2年後には症状が軽快し、正常化しているという現象もみられた。本結果は早期OAの状態であれば症状にも病態にも可塑性があるということを示しており、早期検出と予防的介入の意義が十分にあるという背景になるデータが得られている。特に肥満の解消は早期OAから正常膝への最も効果的なアプローチの一つになりうると考えられた。より長期の縦断的観察も必要であるが、改善群と悪化群の要因に関する検討を生化学的検査やMRI検査を含めて進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成31年度に実施した疫学調査の結果は横断的解析、縦断的解析を行い、早期変形性膝関節症から進行期膝関節症への移行率の算出をすることができた。また縦断解析のためのMRI検査を実行できた。MRI画像の読影も順調に進み、現在はOA進行に関する統計解析を行っているところである。しかしながら令和2年度はCOVID19流行の影響があり、5月のプロジェクト健診は延期となった。10月に入り、感染予防を徹底した状態での健診を行った。参加者は例年の6割に制限し、規模を縮小したうえで予約制として行った。令和3年度は6月に調査を予定しているが、十分な調査が行うことができるかは未だ不明である。一方で本年度はメタボローム解析を健診データと掛け合わせた解析を開始することができた。病態解明とバイオマーカー探索を目標に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本プロジェクト検診を継続することにより一般住民における膝OA、早期膝OAの自然史を長期的に観察し、そこから疾患の進行に影響を与える因子の検討を行う予定としている。同時にプロジェクト健診で行っている各分野の詳細な検査項目から早期OAの発症関連マーカーや進行予測因子の解明に取り組んでいるところである。これまでの健診で得られたデータの詳細な解析を行い、発表、論文化を進めているところである。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通りの使用ができているが、わずかに残額が生じた。次年度調査及び論文投稿費に使用予定である。
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