2019 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of mechanisms of arginine vasopressin receptor 1A in peripheral neuropathic pain
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18K16609
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平井 高志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40510350)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | AVPR1a / 神経障害性疼痛 / ノックアウトマウス / アゴニスト / アンタゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
神経障害性疼痛は外傷性や器質的疾患によって生じ、しばしば難治性である。既存の疼痛薬では治療が困難であり、解決策として疼痛の原因となる遺伝子の同定と新たな治療法が望まれている。 今回我々は数種類の神経障害性疼痛モデルを後根神経節(DRG)に焦点を当て、疾患マウスを作成しそれぞれのDRGを検体として採取した。マイクロアレイにより疾患独自に遺伝子発現が変化したものをとらえ、特定の遺伝子を確認した。そのうち腓腹神経を温存したspared nerve injury(SNI)モデルにおいて、AVPR1aが神経損傷後3週で2.3倍、6種で1.6倍と特異的に有意に上昇していたことを突き止めた。さらに脊髄後角部でも神経障害後に発現増加していることも確かめられた。AVPR1aはバソプレッシン受容体であり、全身に発現しており、炎症性疼痛と強く関与していることが知られている。このAVPR1aの全身ノックアウトマウスを作成しSNIの疼痛行動解析を行ったところ、明らかな疼痛回避行動は見られなかった。その一方でAVPR1aのアゴニストアンタゴニストを使用し疼痛の変化を検証した結果、AVPR1aは神経障害性疼痛に対して保護作用があることが初めて分かった。AVPR1aと神経障害性疼痛のメカニズムとの関連を調査した報告はなく今回初めてである。ノックアウトマウスの行動解析とAVPR1aのアゴニストアンタゴニスト投与による実験の結果から、慢性疼痛の今後の治療薬の標的遺伝子候補として期待される。
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