2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞移植を必要としない骨再生治療の創出-新規開発骨誘導型コラーゲンを用いた挑戦
Project/Area Number |
18K16625
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
深瀬 直政 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (60579324)
|
Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 骨再生 / 骨補填剤 / 新規低接着性コラーゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨腫瘍や骨髄炎の治療において生じた巨大骨欠損には,力学的強度不足を補うような再建や補填が必要になる.これまで,骨髄未分化幹細胞とバイオマテリアルとを組み合わせて移植する手法が試みられているが,管理やコストの面で臨床応用にはハードルが高い.最近,近畿大学の森本らのグループは,幹細胞の分化誘導を促進する細胞低接着性コラーゲン(Low Adhesive Scaffold Collagen;LASCol,特許取得済)を開発し,骨補填材としての新しい可能性を示した.そこで,本研究では,ラット大腿骨欠損での高密度LASCol骨補填材の骨再生能を検証し,さらに薬剤-DDS(LASCol)としての可能性を調べる.本研究の目的は,幹細胞移植を伴わないLASColを用いた自家幹細胞の活性化による骨再生の学術的な基盤を構築し,臨床応用を目指すことである. 細胞実験ではラット骨髄間質細胞をLASColコート、アテロコラーゲン(AC)コート、非コート上にそれぞれ播種し、骨芽細胞分化誘導因子(Osterix、 Runx2、 Atf4、 Alpl、 Bglap、 OCN)の発現をReal-time PCR法で検討したところ、LASColコート上で培養したOsterix、 Runx2、Alpl、Bglap、OCNのmRNA発現レベルは、ACコートおよび非コート培養の両者と比較して有意に増加した.次に動物実験としてラット大腿骨1mm骨欠損モデルを作成し、欠損骨形状と同サイズの高密度LASColスポンジを移植した個体(LASCol群)と、無治療の個体(対照群)につき骨再生を術後4週でμCT、組織学的に評価した。いずれもLASCol群で有意に骨再生が進行していた。 LASColは骨折や骨腫瘍、骨髄炎の治療において生じた巨大骨欠損に対する力学的強度不足を補う再建法として、広く使用される可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高密度LASColで作製した骨再生材料について国内で特許を取得した。pilot studyの結果により、実験計画の多少の変更を行なったが、予定している動物実験を順調に行えている。研究成果について、国内および国際学会にて発表している。
|
Strategy for Future Research Activity |
組織学的評価、遺伝子学的評価、力学的評価を行い、研究成果をまとめて英文雑誌に論文を投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
海外留学による研究実施計画の変更、2021年10月の帰国後に研究再開を行なったため。 予定している研究を継続するために使用する予定である。
|