2019 Fiscal Year Research-status Report
腱板断裂後継続する疼痛のメカニズムの解明および疼痛抑制因子の検討
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18K16633
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
見目 智紀 北里大学, 医学部, 助教 (00533324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腱板断裂 / 疼痛 / 神経成長因子 / 神経ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
症候性腱板断裂の疼痛関連因子に関する検討として、ラットを用いた動物実験とヒト滑膜を用いた研究を実施している。現在動物実験の成果として、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2) は断裂モデル作成後漸減し14日以降有意に低下しているのに対し、TNF-alpha, NGFはモデル作成後56日まで持続的に発現していることをPCRにて確認した。(Nagura, Kenmoku, et al. JSES, 2018) COX-2および神経成長因子(NGF)についてヒト滑膜においても反復性肩関節脱臼症例よりも腱板断裂の滑膜において有意に上昇していることを確認した。(田澤、見目ら.第46回日本肩関節学会にて発表、論文作成中) 変形性股関節症の滑膜と比べ、腱板断裂の滑膜ではCOX-2が有意に低く(Kenmoku, et al.Open J Orthop, 2019)、NGFに関してはCOX-2とは別経路でインターロイキン-1ベータ(IL-1beta)刺激で上昇していることを確認してた。(Nagura, Kenmoku, et al. JOS, 2018) また、ラットモデルにおいてApelinが持続的に上昇しており、ヒト滑膜においても反復性肩関節脱臼症例よりも腱板断裂の滑膜において有意に上昇していることを確認した。こちらはTNF-alpha刺激によってApelinが上昇することをラットおよびひと滑膜で確認した。(中脇、見目ら.第46回日本肩関節学会にて発表、Best abstract16に選出)以上から症候性腱板断裂の疼痛発現機序は変形性関節症で認められるようなアラキドン酸カスケードによるプロスタグランジンとは別な機序で疼痛が持続しており、特にNGFや神経ペプチドの関連性が高いものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在研究成果として、腱板断裂に対しNSAIDsの有効性が低い理由を証明し、その他の疼痛因子の関連性が証明できている。その成果として現時点で英語論文3編がアクセプトされており、また2編の英語論文がほぼ完成しており1ヶ月以内にサブミット可能な状況である。そのため当初の計画よりも進捗状況が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在疼痛関連因子としてNGFとApelinなど神経ペプチドの関与が大きい可能性が示唆される結果を得ている。NGFは疼痛と関連しているがApelinは組織修復にも関与している。腱付着部症では腱は血流が乏しく自己修復能力が低いために修復が不完全となり疼痛が持続すると考えられている。我々のこれまで得られた結果も腱付着部症の疼痛誘発の仮説に一致する。そのため、腱組織の修復因子と疼痛との関連性について研究を進めていく。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Differential mRNA Expression of COX -2 and Proinflammatory Mediators in Patients with Rotator Cuff Tears and Osteoarthritis of the Hip2019
Author(s)
Kenmoku T, Uchida K, Nagura N, Fujimaki H, Nakawaki M, Takahira N, Fukushima K, Tazawa R, Muneshige K, Inoue G, Takaso M
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Journal Title
Open Journal of Orthopedics
Volume: 9
Pages: 254-263
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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