2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K16641
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Research Institution | 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所) |
Principal Investigator |
由井 理洋 医療法人徳洲会野崎徳洲会病院(附属研究所), 研究所, 主任研究員 (20547757)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 肺転移 / 肺線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺線維化による骨肉腫細胞の肺生着促進メカニズム、肺線維化抑制薬による肺線維芽細胞の活性抑制など新たに検討した結果を報告する。 肺を模した軟らかい環境では骨肉腫細胞の増殖は線維量に依存していたが、硬い環境では線維量への依存性は認められなかった。インテグリンβ1阻害抗体によって、線維量増加による増殖促進効果は消失した。さらに、硬度や線維量の増加に伴い、アクチン線維と接着班へのビンキュリン集積が増加することが確認された。YAPの核内移行は有意な変化でなかった。転移骨肉腫細胞の上清は線維芽細胞のコラーゲン産生は増加するが、線維化抑制剤のピルフェニドン、ニンテダニブいずれも増加を抑制した。マウス骨肉腫肺転移モデルにおいて、線維化抑制薬のニンテダニブ経口投与によって有意に肺転移は減少した。またニンテダニブ投与群では、肺に生着した骨肉腫細胞のコロニーの大きさは有意に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験で確認された肺線維化抑制剤の骨肉腫肺転移抑制効果について当初は細胞外環境の軟化が原因と考えられていたが、検討の結果、足場としての線維の重要性が明らかになりつつある。肺転移の初期において、細胞外環境からのoutside-in signalよりも線維に接着すること自体が重要であるという新規性にとんだ概念を証明できるかもしれない。
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Strategy for Future Research Activity |
肺転移初期の足場としての線維の重要性を証明するために、ポリアクリルアミドゲルシステムを利用した免疫染色、タンパク質発現解析、遺伝子発現解析を進める。さらにCRISPR activation screeningをin vivoで行い、肺生着を促進する因子を包括的に解析することも計画している。
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Causes of Carryover |
動物実験を含めて、実験が順調に推移したため次年度使用額が生じた。 今年度は、腫瘍の肺転移における初期段階の肺生着過程における腫瘍と線維の相互作用について分子生物学的に解析する。具体的にはmechanotransuductionの中心分子であるYAPの発現様式を、複数の骨肉腫細胞株、乳がん細胞株で比較する。さらに硬度可変型の2次元培養系でのYAP, インテグリンb1の発現パターンの変化を免疫染色で検証する。また、線維の少ない状態での肺生着におけるintegrin b1-Cdc42-bPIX/PAK2の関連性についても検証する予定である。 他に、肺生着に関わる分子を包括的に解析するためにCRISPR activation screeningを行う予定である。
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