2019 Fiscal Year Research-status Report
抗神経成長因子抗体と関節注射併用による変形性膝関節症に対する新たな疼痛治療の開発
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18K16642
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 浩司 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (40771895)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗神経成長因子抗体 / 変形性膝関節症 / アルギン酸 / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
モノヨード酢酸(MIA)関節内投与による薬剤誘発性の変形性膝関節症モデルのラットを作成した。予備実験の結果、本研究ではMIAの投与量は0.5mg、抗神経成長因子(Neuro Growth Factor:NGF)抗体投与は2週後以降とするのが適当であるということに至った。 このMIA誘発性変形性膝関節症モデルを用いて①MIA+生食、②MIA+1ug抗NGF抗体、③MIA+10μg、④MIA+100μg、⑤Sham ope+100μg、⑥Sham+生食の6群(各群n=6)で抗NGF抗体の効果の評価を行った。MIA投与3週後から1週間おきに連続4週抗NGF抗体を投与を行った。 抗NGF抗体の除痛効果を週1回両足圧力差痛覚測定(incapicitance meter)を用いた両下肢の荷重分布、Von freyテストを用いたMechanical allodynia、hyperalgesiaを評価した。MIA投与またはsham ope施行7週後に組織採取を行った。 結果、②③では有意な除痛効果は認めなかったが、④で有意な除痛効果を認め、その荷重分布は⑤、⑥と同等であった。また、Von freyテストではMIAを投与した①-④間に有意差なく、①-④いずれも⑤、⑥と比較し有意に低値であった。組織の関節軟骨の肉眼的評価では①-④間に有意差は認めず、①-④いずれも⑤、⑥と比較し有意に高値であった。HE染色、Safranin-O染色、Mankin scoreを用いた組織学的検討でも同様に、①-④間に有意差は認めず、①-④いずれも⑤、⑥と比較し有意に高値であった。 これまでの結果より、ラットでは抗NGF抗体100μg投与で十分な鎮痛効果が得られること、抗NGF抗体投与により、関節破壊の進行は進まないことが明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたアルギン酸の関節保護作用についての検討を予備実験の段階で行った。結果としてアルギン酸の粘性が強く細い径の注射針では関節内投与が困難なこと、抗NGF抗体にアルギン酸を追加投与を行うと抗NGF抗体の除痛効果が表れなかったことから、当実験モデルはアルギン酸の投与並びに効果判定には不適と判断し、本実験ではアルギン酸追加投与群は設定しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄後根神経節 (dorsal root ganglion (DRG)) の免疫組織染色を行い、抗NGF抗体の効果の検証を行う予定である。また、人工膝関節置換術後の抗NGF抗体の変化についても検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に脊髄後根神経節 (dorsal root ganglion (DRG)) の免疫染色、海外発表、並びに論文作成に使用する予定である。
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