2019 Fiscal Year Annual Research Report
Strategic research on cartilage development and regeneration using the chondrocyte differentiation method of human iPS cells by small-molecule compounds
Project/Area Number |
18K16645
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河田 学 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (10803174)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 軟骨細胞 / ヒト多能性幹細胞 / 低分子化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、Wnt/β-cateninシグナルの活性化剤であるCHIR99021、及びレチノイン酸受容体(RAR)作動薬であるTTNPBという2種類の低分子化合物の組み合わせにより、recombinant proteinを用いた従来報告されている分化誘導法よりも、短期間で効率の良い誘導が可能なヒトiPS細胞の軟骨細胞への分化誘導法(以下、本誘導法を2 Compounds法 = 2C法と呼称する)を確立した。また2C法はその経時的な発現解析から、発生学的にも極めて妥当な軟骨分化誘導法であることが分かっている。 2C法の軟骨分化の分子メカニズムを明らかにするべく、本誘導法の各分化段階においてRAR及びβ-cateninのChIP-seqを各段階で実施した所、SOX9を始めとした各分化段階の代表的な転写因子群のenhancer領域にpeakを認め、中には両ChIP-seqで共通したpeak領域も見られた。以上のことから、レチノイン酸シグナル及びWnt/β-cateninシグナルは、軟骨分化・発生過程の各段階を規定する代表的な転写因子群のenhancer領域に作用し、一部は協調しながら分化の制御に直接的に関与していることが明らかとなった。 またヒトiPS細胞から2C法により分化誘導した軟骨細胞を用いてparticleを作成、免疫不全マウスの皮下に移植した所、ヒト組織特異的抗体陽性の硝子軟骨組織の生着を認めた。以上のことから、本誘導法により作成した軟骨細胞は、実際の生体内においても良好な硝子軟骨組織の形成能を有することが示された。
|