2018 Fiscal Year Research-status Report
ANTITUMOR EFFECT OF SCLEROSTIN AGAINST MALIGNANT BONE TUMOR
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18K16651
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岡本 正則 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (50596781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 悪性骨腫瘍 / 抗がん剤 / Wnt経路 / スクレロスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫は小児に好発する悪性骨腫瘍であり、新規抗がん剤の開発が切望されている。本研究では、骨組織に特異性の高いWnt経路阻害因子であるスクレロスチンを治療薬として応用し、全身的な副作用の少ない抗がん剤の開発を目指している。 3年間の研究機関の初年度である2018年度は、マウスおよびヒト骨肉腫細胞株を用いて、骨肉腫に対するスクレロスチンの抗腫瘍効果の検証を行った。alamarBlue assayやScratch assayの結果、スクレロスチンは骨肉腫細胞株の増殖を抑制することが明らかになった。Migration assayの結果から、スクレロスチンは骨肉腫細胞株の遊走能を抑制することが明らかになった。骨肉腫細胞株をマウスの背部皮下に移植し、骨肉腫モデルマウスを作製した。骨肉腫モデルマウスにスクレロスチンを連続7日間腹腔内投与すると、腫瘍の増大が抑制され、生存期間が延長することが明らかになった。これらの結果から、スクレロスチンが骨肉腫に抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。現在その抗腫瘍効果のメカニズムを解析している。in vitroおよびin vivoにおいてスクレロスチン投与により、骨肉腫のWnt経路活性がどう変化するか、βカテニンの発現が低下するかどうかをウェスタンブロットにて確認中である。 また骨肉腫の臨床検体を用いた、Wnt経路活性およびスクレロスチンの発現量と臨床成績との関連の解析を行った。骨肉腫の臨床検体では、スクレロスチンの発現量に個体差が大きく、臨床成績との関連に有意な結果は得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験から推測されたスクレロスチンの骨肉腫に対する抗腫瘍効果が、マウスおよびヒト骨肉腫細胞において確認された。再現性のある結果が得られ、当初の予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.スクレロスチンが骨肉腫に対して抗腫瘍効果を示すメカニズムを解析:in vitroおよびin vivoにおいてスクレロスチンを投与した際の骨肉腫のWnt経路活性、βカテニン発現の変化をウェスタンブロットやリアルタイムPCR、免疫染色などで解析する。 2.in vivoでのスクレロスチンの投与方法、投与量、投与回数の検討:スクレロスチンの腹腔内投与で抗腫瘍効果が確認されたが、吸収率などが不明のため、尾静注による投与を検討する。投与量や投与回数の変更により、腫瘍の増大抑制作用や生存期間の延長作用がどのように変化するか解析する。 3.スクレロスチンと既存の抗がん剤との併用効果の検討:現在骨肉腫に対して標準的な抗がん剤であるドキソルビシンとの併用により、骨肉腫に対してさらなる抗腫瘍効果(奏効率の向上、全生存期間の延長など)を示すかどうか検証する。
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Causes of Carryover |
当初計画していた通りほぼ順調に研究は進んでいる。次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて、当初の予定通り、消耗品費や人件費、旅費などに使用する計画である。
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