2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of relationship between osteosarcoma and immune cells
Project/Area Number |
18K16652
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 和薫 信州大学, 医学部, 特任助教 (60770774)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / 抗PD-1抗体 / Wnt |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は骨肉腫に対する抗PD-1抗体の有用性の評価と投与時の腫瘍微小環境における免疫細胞の動態についてWnt経路との関係に着目して評価したものである。本研究は骨肉腫皮下移植マウスモデルに抗PD-1抗体(4H2、小野薬品工業)を投与し、マイクロCTを用いた経時的な腫瘍体積の測定と、生存率を評価を行った。また、骨肉腫臨床検体を用いてWnt経路関連の各種因子のmRNA発現と臨床経過の関係について評価を行った。 本研究の結果として、骨肉腫異所性移植マウスモデルにおいて抗PD-1抗体の長期投与により腫瘍体積の増大が抑制され、全生存率が改善することが分かった。また、抗PD-1抗体投与により制御性T細胞(Treg)が減少したが、中でも活性型Treg(Ki67+)が減少していた。一方、骨肉腫臨床検体においてLRP5陽性、LRP6陽性、βカテニン陽性と早期の肺転移が有意に相関することが分かった。また、Wnt3a, Lrp5, Wnt5a陽性がそれぞれ相関することが分かった。LRP6はLRP5とは強く相関していたが、Wnt5aとは相関しなかった。 本研究結果は骨肉腫に対する抗PD-1抗体が腫瘍体積増加抑制および全生存率を改善することを示している。また、抗PD-1抗体の投与により腫瘍内のTregが減少することが示され、本来のCD8陽性T細胞の再活性化以外に抗腫瘍効果を示すメカニズムが存在する可能性を示している。一方の臨床検体を用いた実験結果からは、LRP5がWnt古典経路と非古典経路の協調においてLRP6と異なる働きをしている可能性示している。 本研究結果は、骨肉腫の治療における抗PD-1抗体を考えるうえで重要な基礎データとなる。また、骨肉腫においてWnt古典経路及び非古典経路が協調する可能性を示しており、病態の理解やそれに伴う新規治療法の確立において有用な結果である。
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