2019 Fiscal Year Research-status Report
RUNX2を活性化するランソプラゾールに着目した新規骨再生製剤開発の基盤研究
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18K16656
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡部 由香 (塚越由香) 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20468383)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨形成促進 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / ランソプラゾール / 頭蓋骨欠損モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内において水溶性ランソプラゾールと培養骨髄細胞と人工骨を組み合わせた骨再生製剤の有効性を評価する目的で、あらかじめ20μMの水溶性ランゾプラゾールにて1日刺激した同種骨髄由来間葉系細胞を圧縮可能な多孔性コラーゲンスポンジに含浸させて、直径2mmのマウス頭蓋骨欠損モデルに移植した。移植4週間後に骨欠損の修復状況をμCTで評価した。その結果、ランソプラゾール添加なしのコントロール群に比べ、ランソプラゾールを添加した群で、骨欠損部の新生骨量は多くなる傾向があり、ほぼ完全に修復された個体も認められた。この結果から水溶性ランソプラゾールに骨分化促進効果があることが示唆された。 次に、足場となる人工骨を耐圧縮性の多孔性コラーゲンスポンジに変更し、同様の移植実験を行った。その結果、移植8週間後においても、骨形成が認められた個体はなかった。耐圧縮性の多孔性コラーゲンスポンジは圧縮可能な多孔性コラーゲンスポンジと同一の原材料から作製されているが、40kPaの圧縮強度を持ち、生体内に吸収されるのに時間がかかることが報告されている。圧縮可能な多孔性コラーゲンスポンジを用いた解析では、移植4週間後には生体吸収性によりスポンジの残存は見られなかったが、耐圧縮性の多孔性コラーゲンスポンジは移植8週間後も生体吸収性が見られず、移植部位に残存していた。つまり、圧縮可能な多孔性子コラーゲンスポンジは、耐圧縮性の多孔性コラーゲンスポンジに比べ、骨欠損部に三次元的に生着する細胞数が多くなったと推測される。このことにより、新生骨が形成されたと考えられる。 ランソプラゾールの骨芽細胞系譜への分化決定およびその後の分化過程には、細胞から分泌される成長因子が中心的な役割を果たしていると考えていた。しかしながらこの結果より、新生骨の形成には培養骨髄細胞も同時に移植部位に生着させることが必要不可欠であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年4月より補助事業を開始し、6月に交付決定を受けたが、同年9月~令和元年7月の間、産前産後の休暇および育児休業を取得した。令和元年8月より育児休業から復帰し、体調が完全に回復した令和元年12月より研究を再開した。この期間、研究を中断したため、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
産休育休取得により1年6カ月の間研究を中断したため、令和2年度まで補助事業期間を延長した。令和2年4月17日より新型コロナウィルス感染拡大防止措置のため、研究代表者の所属する名古屋大学では、原則在宅勤務での研究活動を実施との活動指針が出されている。そのため、新規の実験は中止している。実験再開後、実験計画を再度見直し実施する予定である。
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Causes of Carryover |
産前産後休業および育児休業の取得のため予定していた実験に遅れが生じた。加えて新型コロナウィルス感染拡大防止措置のため、参加を予定していた学会がweb開催となり、旅費の執行がなくなった。 現在、感染症の影響におより実験を停止しているが、実験を再開可能となり成果が得られれば学会等で発表を行う。
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